2018年4月22日日曜日

「ソラーメ、カザカミ」って何??? (2018年4月号 vol.22)

電車の中で本を読んでいると、目の前に著者の先生が座っていました。
本のタイトルは『戦略思考コンプリートブック』で、著者は河瀬誠さん。
河瀬さんの講演を何度か聞いたことがあり、facebookでは、いつも最先端の情報や有意義な見解を教えてもらっています。

上司に薦められて『戦略思考コンプリートブック』を読んだのは5~6年前のことです。今回再読して新鮮に読めてしまう部分(忘れてしまった部分)もたくさんありましたが、身についていたこともありました。

その一つが「空、雨、傘、紙」です。
一般的には「空、雨、傘」のフレームワークと呼ばれているようですが、河瀬流では「紙」が大切ということになります。
「空、雨、傘、紙」の四つを「ソラーメ、カザカミ」と唱えて覚えました。

今回、河瀬さんの許可をもらいましたので、今月号では「空、雨、傘、紙」について、
私なりの解釈を交えてお伝えしたいと思います。

「空を見て明日は雨が降るかもしれない、と思ったら傘を用意しよう。
傘を忘れないように、玄関に『傘』と書いた紙を貼っておこう。」
雨が降りそうなら、紙に書かなくても傘を忘れることはないかもしれません。
しかし仕事に関しては「紙」に書かなかったので実行が不十分だった、ということはよくあります。

傘はソリューションの一つです。雨に濡れないためのソリューションには
「傘をさす」「カッパを着る」「出かけない」などがあります。
ソリューションとは検証が済んだ仮説のことです。明日の雨対策には
「傘でいいだろう」「カッパがいいはずだ」「出かけない方がいいかもしれない」
というのは仮説です。傘かカッパか、出かけない方がいいのかは検証して決めます。

「出かけない」というソリューションを選択した場合は、アポイントを変更する、
アポの変更によるスケジュール遅延を計画表に反映させるなどのアクションをとる必要があります。「傘を持つ」だけなら紙に書く内容は簡単ですが、「出かけない」ことがソリューションの場合、実行計画を細かく定める必要があります。

「空、雨、傘、紙」を意識していると、雲行きが怪しくなった段階で傘と紙のことを思い出せるようになります。空(雲行き)は事実で、雨は事実から予想される出来事、傘がソリューションで、紙はアクションプランです。

少し前の日経産業新聞の一面に
「ペッパー面接官、怒涛の質問攻め」
と大きな見出しがありました。

その記事を読んだとき、雲行きが怪しくなってきた、と感じました。
面接官役のロボット(ペッパー)が学生と会話し、学生の言葉や表情をAIで分析して点数をつけるそうで、読んだときにドキリとしました。
人材紹介の仕事では、求人企業から「誰が活躍しそうですか」と聞かれることもあるわけですが、ロボットによる評価の方が信頼性が高いという時代がくるかもしれません。

ロボットが学生を面接した事実(空)があり、AIが人材紹介業の一部を代替する可能性(雨)があります。さて、傘を持つべきか、カッパを用意すべきか。
そして、いつまでにアクションプランを立てなければならないのか。

差し迫った危機ではないので、もう少し事実を集めてしっかり分析しよう、
と思ってしまいがちですが、分析や仮説の検証をしているうちに手遅れになっては意味がありません。

うーん、と唸っていくら考えてもソリューションが見つからないときは、河瀬先生に
聞いてみようと思います。

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(本の左右にあるクリスタルオブジェは、トランサーチ・ジャパンがグローバル本部から表彰されたときの記念品で、本文とは無関係です。)