2018年6月24日日曜日

「人手不足のため閉店します」を回避するには(2018年6月号 vol.24)


4月のことですが、会社の隣にあるラーメン屋が閉店しました。毎日、行列のできる人気店でしたが「人員不足のため閉店します」と張り紙があり、驚きました。
「ラーメン次郎 新橋店」の閉店のニュースはネット上でも話題になったようです。

労働統計の資料から総人口と生産年齢人口(15歳~64歳)を抜き出してみると下のようになります。
(中段が総人口で、下段が生産年齢人口。単位:百万人)
1955  1975  1995  2015  2035  2055
89          112        126        127        115        97
55          76          83          76          65          50
*細かな数字は下記の厚生労働省・労働統計要覧でご確認下さい。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyr_b.html

1995年から2015年を見ると総人口は増えていますが、生産年齢人口は700万人も減っています。1970年頃までの「高度経済成長」、1990年頃までの「バブル景気」、その後の「失われた20年」という言葉は、生産年齢人口の増減で説明できてしまいそうです。そしてこれからは、総人口も生産年齢人口も減っていくので、「失われた20年」が40年、60年と続くかもしれません。



かつての「男社会」に女性や外国人や高齢者を迎えることで労働力の減少を緩和させようとするので、ダイバーシティの推進が重要になっています。が、頭だけでなくハートで理解するのは大変です。
以前、私の職場にはパキスタンの人(Nさん)が勤務していました。イスラム教徒の彼とランチに行ったとき
「この店では豚肉は出ないので、なんでも安心して注文して下さい」
と言われました。ランチに誘ったのは私でしたが、店を選んだのはNさんです。イスラム教徒にとって日本の一般的なレストランは安心できない場所なのだと、初めて知りました。

「日本は遅刻にうるさいから、もう少し早めに来た方がいいよ」と彼に助言しました。親切心から言ったつもりですが「日本は時間に厳しいですよね」と流されてしまいました。
Nさんの遅刻の頻度はその後も変わらず、私は“助言を聞いてもらえなかった”と感じました。
私は規律を重視する職場にいた期間が長かったため、「遅刻厳禁」が当たり前だと思っていました。しかし、今の会社に移り、出張して海外の同僚と会議をしたりすると、集合時間の前にきっちり席についている国の人の方が少数派でした。「時間管理よりも成果主義」のカルチャーだと5分や10分の遅れは遅刻ではないようです。

少し前に会った大手電機メーカーの社員から「うちの部署は完全な裁量労働制なので、遅刻の概念がありません。遅刻どころか、会社に来ない日があっても誰にも気にしません」と聞きました。システム系の事業部に所属している中堅社員で上司や部下との連絡もメールやチャットアプリが基本になっているそうです。
「社内には遅刻にうるさい部署もありますが、私のところは同僚と同じ空間にいる必然性がありません。成果主義が徹底され、部門の業績も好調です」
とも言っていました。

ベルトコンベヤの前で行う作業のように、遅刻しなければその分だけ生産量が上がるタイプの職場では時間の管理が重要になります。ひょっとすると、遅刻にうるさい文化は「工場のみんなは時間通りに頑張っているのに、本社の人間が遅刻していたんじゃ示しがつかない!」という雰囲気が生んだのかもしれません。

「時間や行動を管理されないと規律が乱れてしまう集団」と「成果を求めるマインドにより自然と秩序が整っていく集団」
どちらででも自由に選べます、と言われたら多くの人が後者を求めるはずです。
労働力不足の時代に優秀な「人財」を確保したいなら、職場のカルチャーや組織の意識改革が重要になりそうです。

【以下は宣伝!】
採用だけでなく、組織の改革に課題を感じている方も当社にご連絡下さい。提携している組織人事系のコンサルファームと一緒に課題を解決します。改革の過程で必要な「人財」は当社から紹介いたします。

連絡先:k.iso.transearch@gmail.com