昔、総理大臣の大平さんが、半袖のスーツを着ているのを見たとき、
「こんなの着るくらいなら、上着なしにすればいいのに」
と子供心に思ったものですが、あの頃から比べると、おじさんたちの頭もだいぶ柔らかくなったということでしょう。
と書きながら、あの頃子供だった私が、今やおじさんを代表する世代になっていることに気づきました。
「ぼくらの感覚は、クールビズを定着させるくらいに若いままなんです」
と言いたいところですが、我々の世代は「バブルおじさん」と呼ばれることもあるそうで、どうも旗色が悪いようです。
少し前の日経新聞に「さよなら、おっさん」と大きな文字で書いてありました。
ニューズピックス社が出した全面広告ですが、その下に書いてある小さな文字を読まずにカチンときたおじさんたちも多かったようです。
凝り固まった価値観から離れることが出来ず、新しいことに挑戦できないマインドを、ニューズピックス社は「おっさん病」と定義しています。「さよなら、おっさん」は、おじさんたちを社会から排除したいわけではなく、ニューズピックス社が提供する情報に接すれば「おっさん病」にかかる心配はないですよ、という宣伝です。
先日、都市対抗野球の応援に駆り出された友人が
「お偉いさんにビール注がされる女の子もかわいそうだよ。あれじゃあ、会社辞めてベンチャー企業に行きたくもなるわ」
と言っていました。ビールを注がれているエライ人が「女子社員がビールを注ぐのは当たり前」と思っているなら、「おっさん病」の罹患者だと言えるでしょう。
「ビールを注ぐことも『おじさん操縦法』の一つ」と考える人もいれば「こんなことやってるくらいなら、外資かベンチャーでバリバリ仕事したい」と思う人もいます。外に出ることを決めてサクッと転職する人もいれば、大企業に残るべきか転職すべきかを悩みつつ相談に来る人もいます。
悩みを抱えている人のほとんどは、大企業を辞めても大丈夫なのだろうか?という漠然とした不安を持っています。そんなときは「大丈夫」の中身が何かを確認すると、すっきりしてもらえます。
・転職先で自分は活躍できるだろうか。
・転職先の人間関係で失敗したらどうしよう。
・大企業に残った場合と転職した場合では、どちらが生涯年収は高くなるだろう。
・大企業と転職後では、どちらがかっこよく見えるだろう。(世間体はどうだろう。)
・転職先が倒産したらどうしよう。
何を心配しているのかが分かると、残るべきか転職すべきかの判断基準も明確になります。
都市対抗野球の応援でも社員旅行でも、会社のイベントを楽しめているうちは転職を考える必要はないと思います。
経営サイドの視点からみれば、イベントに参加している社員に「駆り出され感」があるようなら、社員の流出を心配する必要があります。
雇用の流動化は「おっさん病」対策の一つであり、転職者がいないと私の仕事は無くなってしまうのですが、一つの会社で勤め上げる人のマインドも個人的には好きです。
生え抜き社員と転職して来る人が刺激し合って、「おっさん病」のない会社が増えて欲しいと願っています。