久しぶりの海外出張で、ロンドンに行って来ました。
学生時代(30年前)にも訪れたことのある都市ですが、当時はどの観光スポットにも日本人がたくさんいて、現地の人から少しずれたトーンで「コンニチハ」と声をかけられることもありました。
しかし今回は英国に着くなり、空港スタッフから「ニーハオ」と挨拶され、アジア系観光客の主役が中国人に移っていることを実感しました。
出張の目的は、世界の60の都市から集まった同僚と情報交換したり、グローバル本部が開発した採用アセスメントツールの使い方を学んだりすることです。
会議は4日間に及び、普段、英語を使う機会が少ない私にとってはかなりハードでした。会食の席でも英語が続くので、ゆっくり食事を楽しむ余裕はないのですが、各国のメンバーと会話できる貴重な時間でもあります。
会食のとき、イギリス人の同僚から「30年前と比べて、一番違っていると感じるのは何?」と聞かれました。その同僚とは初対面だったので、政治的な話題は避けるべきかと一瞬考えました。しかし、各国の人材を紹介し合う仲間なので、移民排斥派ではないだろうとの予想もあり
「イギリスのダイバーシティーがものすごく進んでいることに驚いた」
と回答しました。「ダイバーシティー?」と聞き返されたので「街中でたくさんの人種を見かける」と答えると、彼は「その通り、それがイギリスの発展を支えている。ダイバーシティーは重要だ」と言いました。
「ブレグジット」について彼の意見を聞こうとしたのですが、隣の席のドイツ人が日本の天皇制度について質問してきました。
ドイツの同僚は天皇の生前退位が200年ぶりであることを知っていて「なぜ、そうなったのか?」と尋ねてきました。
・日本の憲法において、天皇は政治的な権能を持たないと規定されている。
・天皇が自らの退位について言及することは政治的な権能の行使に当たると考える人もいる。天皇に「引退したい」と発言させ、幼い子供を新しい天皇に擁立し、「新天皇を補佐するのは私だ」と宣言して権力を奪おうとする人間が出てくる可能性があるからだ。
・サムライの時代を終わりにした新政府は憲法で、天皇は引退できないと規定した。
・だから前回の生前退位は、サムライの時代にまでさかのぼる。
・今回、天皇は自ら引退したいと明言したわけではない。
・しかし多くの国民は天皇が引退したいと考えていたのだと理解している。
なんてことを英語でスラスラ説明できるとかっこいいのですが
「前の天皇は高齢で、そろそろ引退したくなったんだと思う。ここ200年くらいは、天皇が引退できる仕組みがなかった」と答えてしまいました。
“うーん、きちんと説明したいけど、会議の英語で疲れてしまった。もっと英語力が欲しい”と心の中で叫びました。
実は今回の出張の前に、天皇制について質問されるかもしれないと思って、予習しておきました。そして、明治政府の伊藤博文が天皇の退位制度廃止にこだわったことを知りました。
試験予想でヤマが当たったのに、ちゃんと回答できないなんて!(あ、学生時代にもそんなことがあったような気が…)
世界史も日本史も好きなのですが、英語力が足りないと一般教養のない人に見られてしまいます。「ブロークンイングリッシュでもグローバル人材にはなれる」が持論の私ですが、今回は英語力の低下を感じ落胆しました。英語の他にもやりたいことがたくさんあって、どれに時間を割くべきか悩んでいます。