「うーん、今日は山田くんに負けちゃったなあ」
「えっ、何がですか?」
「私って晴れ女でしょ。でも、今日、雨が降っているってことは、山田くんの雨男パワーに負けちゃったってことじゃない」
パーティー会場で二人の会話を聞いたとき「このお姉さま、逆に強すぎ」と思ってしまいました。(この女性の名を仮に平野さんとします。山田くんも仮名です。)
平野さんは、明るく朗らかにリーダーシップを発揮できる女性で、そのパーティーの中でも大物感を漂わせている人物の一人です。一方の山田さんは、おとなしくて口数の少ないタイプ。
平野さんは自営業の経営コンサルタントで、中小企業の社長さんたちからの信頼も厚いようです。
このパーティーに参加したのは6~7年前のことですが、それ以来「晴れ女」や「晴れ男」を自称するのは、イメージアップ作戦の一つだと思うようになりました。もしも「100%の晴れ男」が実在するのなら、政府は「晴れ男軍団」を組織して、台風の直撃から日本を守ってくれるはずです。
冗談はさておき、そのパーティーの日以来、私も「晴れ男」になろうと思うようになりました。しかし性格的に
「オレの晴れ男パワーが、〇〇くんの雨男パワーに負けちゃったなあ」
なんてことは言えません。
人に聞かれたときに「どちらかと言えば、晴れ男ですよ」などと答える程度です。しかし、これでは晴れ男にはなれません。
本物の晴れ男や晴れ女は「ほーら、やっぱり私って晴れ女」と公言でき、しかも周囲の人に不快感を与えない人です。ある意味、天賦の才能ではないでしょうか。
数年前のパーティーのことを思い出したのは、先日の面談で
「なんなら、履歴書の特技の欄に『晴れ男』って書きたいくらい、よく晴れます」
と言った人(仮称:春日さん)がいたからです。
転職相談の仕事では相手のパーソナリティを知ることも重要で、私はよく
「周囲の人から『佐藤さん(仮)って、〇〇な人だね」と言われるとしたら、どんな言葉がありますか。実際に言われる言葉でも、想像でもいいです」と質問します。(もちろん、相手が木島さんなら、「木島さんって、〇〇な人だね」になります。)
この質問に対しては「真面目な人」「面白い人」「執念深い人」「敵をつくらない人」「いつも楽しそうな人」「めったに怒らないけど、怒ると怖い人」など様々な答えが返ってくるのですが、春日さんの「ホントに晴れ男だねって言われます」という答えは意外でした。
(政府から「晴れ男軍団を組織したいのだが、いい人を紹介してくれ」という仕事の依頼が来たら、春日さんを推薦したいと思います…。)
さて、春日さんは「ホントに晴れ男だねって言われます」と言った後、次のように補足してくれました。
「晴れ男を自称していると、ラッキーなことが舞い込んでくる気がするのですよね。宝くじに当たるようなラッキーではなく、人に恵まれるとか、偶然のひらめきが仕事につながるとか、そういった類のラッキーです」
それを聞いて私は「そうですよね。春日さんみたいな人についていくと、こっちまで、得しそうな気がします」と答えていました。
面談の前に読んだ職務経歴書に数々の実績が記載されていましたが「なるほど、こんな人がリーダーだったら、ついて行きたくなるのだろうな」と感じました。
自称「晴れ男」や「晴れ女」には、あまり付き合いたくないタイプの人もいますが
「あの人が来るなら、きっと晴れる」と言われるような人の振る舞いをまねしようと思います。