オリンピックの演出責任者が辞任したニュースを見て、久しぶりに中学時代の先生の言葉を思い出しました。
「頭髪の薄い人に向かって、ハゲと言ってはいけない。太った人にデブと言ってはいけない。背の低い人にチビと言ってはいけない。お前たちの中には、事実を言って何が悪い、と思うやつもいるだろうが、言われた方が嫌な気持ちになることを考えろ」と教えられました。
私はその言葉にちょっとした衝撃を受け、それ以来、気をつけるようになりました。
まあ、しかし所詮は中学生。先生がいないところでは、ハゲとかデブとか平気で言う生徒もたくさんいました。ガキ大将的な立場の同級生に「デブとか言うの、やめようよ」と言った結果、自分がイジメの対象になってしまったことがあります。
当時の私は“理不尽な世の中だ”と思ったのですが、今考えてみれば、ガキ大将をねじ伏せる腕力もないのに正論を吐けば、いじめられて当然とも思えます。
大人の世界も同じで、真面目に抗議してもいじめられるだけなので、「文春砲」でガキ大将をねじ伏せたのではないか、と勘ぐってしまいました。
しかし、単なる妄想の可能性もあるので、組織内のゴタゴタについて想像することはやめました。
さて、慕われているリーダーの中にも口の悪い人はいて、他人をおとしめるような発言をしても、許されてしまう人がいます。
数年前のことですが、某所でこんな会話がありました。
A氏「Yさんって、カッパみたいなハゲだよな」
B氏「でた!Aさんの毒舌!」
C氏「Aさん、ホント口が悪いよね。Yさんに伝わったら怒られるよ」
A氏「よし、わかった。今の発言は取り消す。ハゲじゃなくて、ゲーハー!」
ガハハ、と笑ってそれでおしまいです。
そのとき私はAさんに向かって「ハゲとか言うの、やめようよ」とは言いませんでした。近しい関係だったので、Aさんの発言を不快とは感じなかったのです。しかし不適切だとは思いました。でもAさんを注意できる立場でもない。Aさんは私からみて目上の人です。
今なら「そんなこと言うと、どこかに発言が流出して大変なことになりますよ」くらいのことは言えるかもしれません。
しかし本当は「発言が流出して自分の評価が落ちるから言わない」のではなく、人の容姿に対して失礼な発想をしないことが大切です。
「言われた方が嫌な気持ちになることを考えろ」と教えてくれた先生に感謝です。
2021年3月28日日曜日
相手の気持ちになってみよう 『ISO通信』 2021年3月号 vol.57
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