2022年8月28日日曜日

プロとって本番の日はいつ? 『ISO通信』第74号

 


プロ野球に興味のない方にも読んで頂けると嬉しいのですが、今回はプロ野球中継を観ながら感じたことをテーマにしてみました。

私は横浜DeNAベイスターズのファンです。前身の大洋ホエールズ時代からこのチームを40年くらい応援していますが、優勝したのは1998年の一度だけです。プロ野球のセントラルリーグには六つの球団しかないので、もっと頻繁に優勝してもいいはずですが、私が生まれた年(1969年)まで遡っても、優勝の記録がありません。そんな球団、唯一無二です。

強いチームと弱いチームの差について、プロ野球ファンの友達と議論したとき「弱いチームにいると負け癖がついて、試合の後に反省することもないから弱いのだろう」と言われたことがあります。そのときは「プロの選手なのだから、チームが負けても個人としての反省くらいするだろう」と反論したのですが、最近の試合を観て「反省の質」に違いがあったのかもしれないと考え直しました。

今年のベイスターズは、現在のところ2位であり、もしかすると優勝するかもしれません。テレビに映る選手の表情は真剣そのもので、こんな顔つきで毎日試合をしていたら、個人のレベルも上がるだろうと感じました。たとえ負けたとしても、投手が「なぜあの球を投げて打たれてしまったのだろう」と反省し、打者が「なぜ、あのとき空振りしたのだろう」と考えれば次の機会に活きてくるはずです。

翻って自分のことを考えると、最近は「毎日が本番」と思って仕事する習慣を忘れていました。スポーツには練習と本番の試合がありますが、本番の試合に優る鍛錬の場はないと考えています。もちろん練習の成果が試合に現れるのですが、真剣勝負の本番では練習では感じることのできない緊張感があり、その中で力を発揮できる人が、さらに高いレベルに到達できます。

私は、フライングディスクのアルティメットという競技に長く親しんでいて、週末に練習し、年に数度の大会に参加する生活を繰り返していました。40歳を過ぎてからは、練習や大会に出る機会も減り、試合でくたくたに疲れると「明日から仕事かぁ、休みたいな」と思うこともありました。大会の翌日に休暇を取ることもありますが、仕事の前日には「お金を払ってくれるお客さんは、仕事の延長線上にいるのだから、アルティメットは趣味で、明日からが本番だ」と気持ちを切り替えていました。

コロナ禍を言い訳にアルティメットから離れてしまったせいか「毎日が本番」と思う機会がなくなっていました。そしていつもと同じように毎日を過ごしていると、日々の反省の大切さも忘れてしまいます。
ベイスターズの選手のピリッとした表情を観て、本番を意識して仕事する気持ちを思い出しました。「自分が頑張ればベイスターズも優勝できる」という願を掛けて、24年ぶりの勝利の美酒に酔える日を待ちたいと思います。

2022年7月30日土曜日

65歳以上で働く人が1,000万人を超える時代へ!? 『ISO通信』第73号

2011年から2021年までの10年間で、65歳以上の就業者数が341万人も増えています。
総務省統計局が今年の2月に公開した「労働力調査」の資料を見る機会があり、シニア世代の就業者数が大きく伸びていることに驚きました。

労働力調査の中に「年齢階級別就業者数の推移」という表があり、2011年と2021年を比較すると以下の数字になります。 
                     2011→  2021
15歳~24歳:   481万人→   557万人 76万人 増)
25歳~34歳:  1,217万人→ 1,098万人 119万人 減)
35歳~44歳:  1,503万人→ 1,320万人 183万人 減)
45歳~54歳:  1,286万人→ 1,610万人 324万人 増)
55歳~64歳:  1,235万人→ 1,170万人 65万人 減)
65歳以上    571万人 →   912万人 341万人 増)
         6,293万人→6,667万人 374万人 増)
(出所:総務省統計局 「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の要約 表1」)

上記の数字を見ると1524歳、4554歳、65歳以上の階層で就業者数が増えています。
「労働力調査(基本集計)」の参考資料に年齢階級別の総人口も記載されていました。

                      2011   → 2021
15
歳~24歳:  1,248万人→1,194万人 54万人  減)
25
歳~34歳:  1,544万人→1,277 万人(267万人 減)
35
歳~44歳:  1,893万人→1,545万人 348万人 減)
45
歳~54歳:  1,567万人→1,873万人 306万人 増)
55
歳~64歳:  1,898万人→1,520万人 378万人 減)
65
歳以上    2,967万人→3,635万人 668万人 増)
合計     11117万人→11044万人 73万人 減)
(出所:総務省統計局 「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年) 参考表」

65歳以上の人口の増えっぷりがスゴイ!就業者数も増えるわけです。
45歳から54歳の層でも人口が増えていますが、これは団塊ジュニアの世代がその年齢になった影響であり、この年齢層も人口増が就業者数の増加につながっています。
しかし、15歳~24歳の層では総人口は減少しているのに就業者数は増加しています。考えられる理由として、外国人の増加がありそうです。

出入国在留管理庁の資料によると2010年に209万人だった在留外国人の数は、コロナによる影響が出る前の2019年では293万人に増えています。また、みずほ総研(現 みずほリサーチ&テクノロジーズ)が202099日に公開した『みずほインサイト』によると外国人の人口に関して“最も多い年齢階級は2024歳であり、また20歳から39歳までで全体の54%を占めている。(~中略~)外国人の増加は日本で進行する人口減少だけでなく少子高齢化による若年労働力の減少も緩和している。”とあります。
増加した就労者数76万人の内訳を示す資料を探すことはできませんでしたが、外国人の増加が大きく関係していそうです。 

高齢者就業に話題を戻しますが、今週は60歳前後のかたと面談する機会が多くありました。その年齢になって「新たな職場でもっと活躍したい」と考えている方々は、みなさん元気でチャレンジ精神も旺盛です。年齢が理由で役職を離れた人が多く、今の職場で力を持て余している様子を聞くと本当にもったいないと感じました。

ここで最初の数字をもう一度、見て下さい。65歳以上の就業者数が341万人も増えています。やがて65歳以上の就業者数が1,000万人を超える時代になりそうです。60歳は定年退職の年齢ではなく「まだまだ働ける即戦力の世代」と認識する企業も増えてきそうです。



2022年6月24日金曜日

ITで解決するか、気持ちで解決するか。 『ISO通信』第72号(2022.6.24)

 「指差し確認」の習慣に今でも助けられています。

新卒で入社した会社がメーカーだったので、指差し確認をしっかりと教えられました。指差し確認は「指差し呼称」や「指差し喚呼」とも言われ、見たものを指で差し、声に出して確認することでリスクを回避します。

駅のホームに入ってきた電車を駅員さんが指で差し「停止位置よし!」と言っている場面を見ることがありますが、停止場所のミスを防ぐための有効な手段だと思います。

私の場合、毎朝自宅を出る前に、財布、定期入れ、スマホなどの忘れ物をしないために指差し確認をしています。「財布よし!」「スマホよし!」とまでは言わないものの1、2、3、4と声に出しながら指で差し、忘れ物を防いでいます。
忘れ物をしがちな長男に「指差し確認すれば、忘れ物しなくなるぞ」と言ったら、意外な答えが返ってきました。
「指差し確認することを忘れたら意味がないじゃん。指差し確認したり、コツコツ努力することが苦手な人もいるからね。だから、忘れ物をしないようにITで解決したいんだよ。財布や定期券をスマホに入れようと考えた人は忘れ物の名人だったかもしれないよ」
プログラミングを覚えた長男は、不便なことがあるとITで解決しようと考えるようです。
長男の言葉を聞いたとき「何でもITで解決しようなんて安直だし、指差し確認で十分だ」と考える自分と「待てよ、不便なことがあったらテクノロジーで解決しようと思う人間が世の中を進歩させてきたのかもしれない」と思う二人の自分がいました。

私自身は、面倒くさいと感じたことを心の持ちようで解決しようとするタイプです。例えば、通勤。自宅でリモートワークできると楽ですがコロナ以前から通勤が苦ではありませんでした。電車の中は読書の時間、それ以外は歩行運動の時間と考えていたからです。在宅で仕事をしていると読書の時間と運動の時間をひねり出す努力が必要になります。通勤では読書と運動の時間を自動的に確保でき、街や季節の様子が目に入って来るので脳も刺激されます。そうは言っても、毎日通勤しているとリモートワークが恋しくなったりもします。

毎日オフィスに出たい人もいれば、全く行く必要を感じない人もいるでしょう。最適な出社率は人それぞれです。自分では60%の出社率が快適と感じた場合でも、もっとも生産性の高まる出社率は別な数字かもしれません。AIやITを活用して、本人が快適と感じる出社率と生産性が最高になる出社率をバランスよく計算してくれるアプリを開発してみたらどうでしょうか。「今週のあなたは3.5日の出社が最適です」とリコメンドされてその通りにしたら、周りの人は週に一度しか来ていなかった、ということがあったら、納得しがたい気持ちになりそうです。
勤怠管理にはITシステムが有効ですが、出社率は職場の雰囲気や労使交渉などのアナログな手法で決めた方がよさそうです。米国のアマゾンやアップルでも労働組合が結成されることになったそうですが、その背景に出社率をめぐる労使の攻防があったりして、と考えると最先端企業にも人間味を感じます。



2022年5月29日日曜日

仕事帰りに散髪してはいけないのですか? 『ISO通信』第71号(2022.5.29)


 「仕事が終わって帰宅する途中に散髪をしてはいけません」
もちろん、こんな規則のある会社はないでしょう。しかし私はかつて、上司から以下のように言われたことがあります。
新入社員か2年目の頃だったと思うので、今から30年ほど前のことです。ある日私は、帰宅の途中で散髪しました。翌日会社に行くと上司の上司である部長から「昨日、床屋にいったの?」と聞かれました。
「はい」
「あなたは、ずいぶんと暇なんだね」
「えっ?」
「昨日、あなたは残業をしたわけじゃない。友達と飲みに行ったわけでもない。どうしても見たいテレビ番組があって、急いで家に帰ったわけでもない。平日の夜に散髪できるくらい暇なんだな。もっと仕事を与えても大丈夫そうだ」

“そういうことか、これからは平日に散髪するのはやめよう”と心に決めました。当時私が所属していたグループは、それほど忙しくなかったのですが、隣のグループにいる人は全員が遅い時間まで残業していました。部長から見ると、とても忙しいグループと比較的余裕のあるグループの労働時間をバランスさせたかったのだと思います。

働き方改革が進み「帰宅の途中で散髪しない」マイルールも不要になりましたが、世の中には「自分の仕事が終わっていても、周囲の人が残業していると帰れない」といった暗黙のルールが残っている会社もあります。また、最近の転職相談で「サービス残業が多く、上司は長時間の残業をする部下を評価するタイプの人なので、それも転職したくなった理由の一つです」と聞きました。その人に「早く帰れるようになったら、何がしたいですか?」と質問すると「プログラミングの勉強をしたいです」と答えてくれました。

社会人になってからの学習意欲に関して、日本は他の国と比較してかなり低い状態のようです。パーソル総合研究所の「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」ではアジア・太平洋エリアの14の国や地域を対象として様々な調査をしています。その中に、勤務先以外での学習や自己啓発活動についての質問項目があり、「読書」「セミナーへの参加」「資格取得のための勉強」「大学・大学院・専門学校」「eラーニング」のすべての項目で、日本人の参加率や取り組み率が最低でした。(サイトのリンクを張れず申し訳ありませんが、ほとんどの項目がダントツのビリで、軽いショックを受けました。)

終身雇用が大前提の時代なら、社会人になっても勉強を続ける人が少数派になることは仕方がないと感じます。しかし終身雇用を守ると公言する企業は減り、社員は「成長の機会を得るため」や「ブラックな職場を去るため」などの理由で転職することが当たり前になってきました。職場を去ったけど採用してくれる会社がないようでは困るので、社会人にも学び直しや追加のスキル習得が必要な時代であることを意識しておきましょう。

2022年4月24日日曜日

効率至上主義になっていませんか? 『ISO通信』第70号(2022.4.24)

「やらない!磯君に頼まれたことは一切、やならい!」

今から25年くらい前のことですが、先輩の女性社員(Aさん)にピシャリと言われたことがあります。
当時私が在籍していた会社には総合職と一般職の採用区分がありました。総合職の社員は基幹的な業務を行い、一般職の社員は補助的な職務を遂行する役割でした。(現在は総合職、一般職の区分は廃止されています。)
Aさんは私よりも15歳くらい年上で、社内のいろいろなことを知っている先輩です。「磯君に頼まれたことは一切やらない」と言われる前に、私が発した言葉の詳細は忘れてしまいました。しかし、私の中に「総合職社員と一般職社員とでは、時間当たりの単価が違うのだから、これくらいの仕事はAさんにやってもらいたい」との思いがあり、その気持ちが態度に現れていたのだと思います。
そして、当時の上司から「お前はバカだねえ。普段から『磯ちゃんの仕事なら、手伝ってあげたくなる』と思わせるように接しておかなきゃ」と諭されました。
その一方で、別な先輩からは「総合職と一般職では、役割も時間単価も違うのだから、最も効率的な時間の使い方を考えなさい。何でもかんでも自分でやろうとするな」と教えられていました。
効率的に働きなさい。生産性を考えなさい。全体最適を忘れるな。
そんな風に教えられ、仕事に感情を持ち込まないことが正解だと思うようになっていたのです。
しかし「お前はバカだねえ」と言われ、人は、効率や生産性よりも感情で動くものだと気づきました。ちなみに「お前はバカだねえ」と言われたとき、ムカッと腹が立つのではなく、素直に助言を聞く気になれたのは、この上司の部下への接し方がいつも適切だったからだと思います。

先日、某社の社長を退任した人(Bさん)と会話して、自分の過去の失敗を思い出しました。
Bさんは、大手企業の役員を務めた後、グループ会社の社長に就任し、引退した現在は地域での活動に力を入れています。
「いつの頃からか、自分の1時間には10万円以上の価値があると思ってやってきました。昔は、マンツーマンで誰かと1時間を過ごしたら『この人との1時間は10万円以上の価値があった』『この人は私の時間の価値に気づいていない』なんて思っていたのですが、単価を気にしなくなったら、交友関係が広がりました」
とBさんは笑っていました。
「自分の1時間には10万円の価値がある」と常に意識していたら、仕事の時間はもちろん、 プライベートでも誰と会うべきかを選別してしまうのかもしれません。

「幅広い交友関係が自身の幸福度を高めている」と考える人もいますし「誰と会うかを選別して効率性を追求したい、それが自分にとっての幸せにつながる」と考える人もいます。
価値観は人それぞれですが、効率至上主義に陥ると地域活動においても職場でも、ちょっと浮いた存在になりそうなので気をつけたいと思います。

2022年3月26日土曜日

離職期間と充電期間 『ISO通信』第69号(2022.3.26)

 中規模の会社に勤めている知人(Aさん)から、離職期間を作ることについて相談を受けました。Aさんの勤務先は社員数200人程度の企業で、余った有給休暇を買い取る制度はありません。Aさんは、ある会社から内定をもらっていて「入社の時期は2カ月後でも3カ月後でもいい」と言われているそうです。

以下はAさんと私の会話です。
「有休を消化せずにスパッと会社を辞めたいのですが、次の会社に入社する前に少しゆっくりしたい気持ちもあります。退職してから1カ月後に入社するのって、ありですか」
「うーん、離職期間を作ることはあまりお勧めできません。有給休暇を消化してから、次の会社に入社した方がいいと思いますよ」
「うちの場合、会社に余裕がないから、有休を使い切って辞める人がいないのですよね。有給休暇が労働者の権利だということは知っていますが、世話になった会社なので、あまり無理も言いたくなくて」
「なるほど。まあ、それでもブランクは長くない方がいいと思います。例えば、今の会社を辞めて、次の会社に入るまでに3カ月のブランクがあったとします。もしも将来、再度転職活動することになった場合、この3カ月は何をしていたのだろう?と疑問を持たれることになります。1カ月くらいなら『ちょっとリフレッシュ期間を取りました』と説明すればすみますが、3カ月だと『のんびりした人だな』と思われる可能性があります」
「1カ月くらいなら、大丈夫ですか」
「1カ月くらいなら問題視されないと思いますが、万が一その期間中に大きな災害が発生したり、戦争の影響が拡大したりすると『しばらく入社を待って欲しい』と言われてしまうかもしれなません。なので、あえて離職期間を作ることは避けた方が無難だと思います」
「そうですよね。リーマンショックや大震災があって、パンデミックに戦争ですからね。何が起こるか分からない時代になってきました。離職期間を作ってゆっくりするのは、止めておきます」
Aさんとの会話はこんな感じで終了しました。

ちなみに、厚生労働省の調査によると「直前の勤め先を離職してから、現在の勤め先に就職するまでの期間」は以下の通りです。
離職期間なし:              26.1%
1カ月未満:                   27.6%
1カ月以上2カ月未満:  13.3%
2カ月以上4カ月未満:  12.9%
4カ月以上6カ月未満:    4.6%
6カ月以上8カ月未満:    3.5%
8カ月以上10カ月未満:  1.7%
10カ月以上:                   5.5%
(政府統計『令和2年転職者実態調査の概況』より)

心身に余裕があれば、離職期間を作ることはせずに、次の職場に移った方がよいと思います。しかし心と体のリフレッシュのために、どうしても充電期間が必要なケースもあるので、その場合は離職期間を設ける勇気も要ります。
気持ちの面で追い込まれた状態にならないよう、普段から自分に適したオンとオフのバランスを取って働きましょう。



2022年2月22日火曜日

直近の6年間でどれだけ成長しましたか? 『ISO通信』第68号(2022.2.23)

 


「うちの長男が中学生になりました。」

「はやいねー、もう中学生になるんだ」

「はい、幼稚園で遊んでもらっていた頃が、つい先日のような気がします」

「そうだよねー、こっちも歳をとるはずだよ」

長男が中学生になった頃、親戚や友人とこんな会話をしたことが何度かありました。

 

しかし、ある先輩は私にこう言いました。

「子供さん、小学校の6年間でずいぶんと成長したことでしょう」

「はい。子供の成長は本当にはやいと感じます」

「ところで、磯くん、その6年間でどれだけ成長した?」

「えっ、私がですか?」と聞き返しました。

 

長男が小学1年生になった年は、私が二度目のサラリーマン人生をスタートした年です。

一度目のサラリーマンを16年、フリーランスを2年ほど経験した後の2010年は私にとって節目の年になります。

長男が小学校を卒業した2016年は、今の会社に入社して6年が経つ頃で

「その6年間でどれだけ成長した?」

という質問に対して

「まったく未経験の業界に入ってどうなることかと思いましたが、なんとか人材紹介の仕事で食っていけるような気がしてきました。少しは成長していると思います」

と答えました。

「ほう、それはよかった。お子さんが中学生になった人に『この6年でどれだけ成長した?』って聞くと答えられない人が多いからね。次の6年も成長することを忘れないように」

尊敬する先輩が、そう教えてくれました。

 

あれから6年が経ち、中学校と高校でさらに成長した長男は4月から大学生になります。

「ところで、磯くん、その6年間でどれだけ成長した?」

と質問してくれた先輩とはしばらく会っていませんが、この言葉を思い出して、今度はドキリとしました。

成長していないかも?

「いや、成長はしている」と思いたいのですが、成長カーブが緩やかになっていることは間違いありません。

 

昔のことですが「俺はこの道25年のベテランなんだ!」と威張る人に対して「毎年毎年、同じことを繰り返しているだけの人じゃないか」と内心で反発したことがあります。しかし、私自身も毎年同じようなパターンの仕事に慣れ、コンフォートゾーンにハマりつつあるような気がします。

 

社会や業界の構造が不変なら「この道25年のベテラン」の経験に頼り、その人の指示の通りに動けば間違いなかったことでしょう。また、経験が豊富でたくさんのリスクを乗り越えてきた人は、大きなトラブルに発展しそうな「小さな芽」を未然に摘むことができたり、成果を上げるための最短ルートを知っていたりするので、過去の経験を否定するつもりはありません。

しかし、過去の経験に縛られていると、変化の波に押しやられて、傍流で細々とビジネスを続けていくことなります。

 

次の6年が経つと次男も大学生になっているはずです。そのときに

「息子たちの成長カーブと同じくらいに、私も成長できました」

と先輩に報告できるよう、新しいことにも挑戦したいと思います。

2022年1月30日日曜日

世界18か国の40人に聞きました! 『ISO通信』第67号(2022.1.30)


趣味と実益を兼ねたオンライン英会話を再開して二か月になります。
以前は「DMM英会話」を利用していましたが、今回は「ネイティブキャンプ」にしてみました。
 
これまでに会話した人の出身国と人数は以下となります。
セルビア(6人)、アメリカ(5人)、フィリピン(5人)、モンテネグロ(4人)、ルーマニア(3人)、アルバニア(2人)、イギリス(2人)、ハンガリー(2人)、南アフリカ(2人)、
アルジェリア、エジプト、オランダ、ガーナ、コロンビア、セネガル、トルコ、ナイジェリア、ブルガリア、(アルジェリア以降、1人)
数えてみると18か国40人となりました。
 
途中から出来るだけ講師の国籍がばらけるように受講し、下記の二つの質問をしました。
昔のクイズ番組を思い出して「100人に聞きました」を実践しようと思ったのですが、さすがに飽きてきたので明日からは別な話題にしようと思います。
 
(1)あなたは日本についてどんなイメージを持っていますか。
(2)あたなが知っている日本企業の名前を教えてください。
 
(1)の質問に対しては、総じて以下のような答えが返ってきます。
・長い歴史と独自の文化があって、美しい国。
・安全で安心な国。
・日本食がおいしくて、ヘルシー。
・フレンドリーでホスピタリティー精神に富んでいる。
・工業系の技術が進んでいる。
・経済的に安定していて豊か。
・桜がきれい。
・労働時間がとても長い。
・社交的でなく、パーティーや会議でしゃべらない。
・(ネイティブキャンプの講師をするまで)日本のことをほとんど知らなかった。
 
講師と生徒の関係はティーチング・サービスの売り手と買い手の関係でもあるので、ポジティブな回答が多くなるのかもしれません。しかし、顔つきを見るかぎりは本音で言っている人が多いと感じました。
 
(2)の質問に対しては、トヨタ、ホンダ、ソニーなどの回答が多く、任天堂、ユニクロ、楽天、ダイソーなどの名前を挙げる人もいます。
驚いたことに、計7人が 「Samsung」 を日本企業の名前として挙げました。
Samsungが韓国企業であることを伝えた後に「なぜ日本企業だと思ったのか?」と尋ねると「安くて品質がいいから」「名前の響きが日本語っぽいから」などの答えが返って来ました。
Samsungと類する回答にNOKIAもありました。NOKIAと答えた人は2名で、やはり「品質がよくて、名前の響きが日本語っぽいから」との理由でした。
 
安くて品質のよい製品をつくるのは日本企業、と思っている人がたくさんいることを知り、ジャパンブランドの賞味期限は残っている、と感じました。
しかし、ほとんどの人は「どこの国かは気にしていない。SamsungTOYOTAなら、いい製品なのだろうと思っている」とも言っています。
20代のイギリス人男性は「親の世代は、MADE IN JAPANMADE IN GERMANYなら安心だと言っていたけど、ぼくらの世代では気にしていない」と言っていました。
企業が多国籍化していることもあり、どこの国の企業か知らないし、知る必要もないと思っている人が増えているようです。
 
中国企業の製品についての評価が気になったので、直近で会話した4名に「中国企業の製品についてどう思うか」と聞いてみました。
「以前は情報セキュリティーの面で不安を感じたけど、最近は気にならなくなった。品質とコストのバランスはいい」(41歳 アメリカ 女性)
「中国製品の品質はよくない。スマホも服も靴も。安いから買っているけど、できれば日本製や韓国製のものを買いたい。でも残念ながら、身の回りにあるもののほとんどが中国製だ」(30歳 フィリピン 男性)
iPhoneSamsungの方が人気があるけど、XiaomiHUAWEIのスマホを使っている人もたくさんいる。中国製も悪くない」(31歳 ハンガリー 女性)
「品質と情報セキュリティーの面で中国製は使いたくない。中国製といえば偽造ブランドのイメージも残っている。しかし最近は、大きな橋やスポーツスタジアムなども中国企業が建設している」(36歳 南アフリカ 男性)
 
さて、今回の経験からグローバル展開している企業や海外進出を考えている企業で働いている人は、オンライン英会話を利用して市場調査をしたり、自社製品の評判を聞くことができると感じました。
仕事とは関係なく、趣味としても楽しめますので、たまには英語をしゃべりたいという人にもお勧めです。

2021年12月30日木曜日

「真剣なうなずき」のサインを見逃すな 『ISO通信』第66号(2021.12.30)


頭の中ではいろいろと考えているのに…
心の中には熱い想いがあるのに…
大勢の人の前でそれを言葉にしようとするとうまく伝えられない。
そんな風に思ったことはないでしょうか。

10代の頃の私は、いつもそうでした。
20代になって人前で話すことに少し慣れ、今では頭の中が整理されていない状態でも言葉が先に出てしまうことがあります。
感情が高ぶったときにその傾向があり、もう少し言葉を選べばよかった、と思うこともしばしばです。

人前で話すことが苦手な人は会議でも黙っていることが多いようですが、ある経営者から次のように聞いたことがあります。

「黙っていてもちゃんと考えている人と、ただボケーっとしている人の違いはすぐに分かる。話したいのだけど発言する勇気のない人からはその気配を感じる。そんな人に厳しい顔で『何か意見はないか』と尋ねると『特にありません』で終わってしまうので、優しく発言を促すようにしている。すると今まで発言していた人がハッとするような意見が出てくることもある。会議のファシリテーションでは、自信はないけどしゃべりたそうにしている人の気配を感じることも重要です」

この発言を聞いたのは数年前ですが、最近、ある会社の人事マネージャーが「オンライン会議では、ビデオ機能をオフにしての参加を認めるケースもありますが、それだと『真剣にうなずいている人』の顔が見えない。プロジェクト会議で発言がなかったとしても、真剣にうなずいている人はメンバーに加えたいのですが」と言っていました。

確かにそうだと思います。みんなの前で発言することが苦手でも、真剣にうなずいている表情を見ると共感してくれていることは分かります。


話は変わりますが、久しぶりに英語だけで話す会議に参加し、スピーキングの力が落ちていることを実感しました。相手の面前で話すときは、言葉がたどたどしくても身振り手振りでなんとか伝わっているような気もするのですが、オンラインだとジェスチャーで一生懸命さをアピールしようとしても、伝っていないように感じて不安になります。

英語会議における私のジェスチャーには「真剣なうなずき」と同じような効果があると期待しているのですが、相手がどこまで汲み取ってくれているかは定かでありません。

国際会議においては「何も発言せずニコニコと笑っているだけの日本人は薄気味悪い」と言われることもあるので、しっかりと発言することが大切です。そう思ってオンライン英会話を再開したのですが、世界各国の人々と会話していると「JAPANブランドには、まだ賞味期限が残っている」と感じる発見がありました。

JAPANブランドの賞味期限ってなに?と思ってくれた方がいたら、次号をお待ちいただければ幸いです。

本年も『ISO通信』にお付き合い頂き、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

2021年11月27日土曜日

新卒一括採用が終身雇用の起点ではなくなってきた 『ISO通信』第65号

 



「ほとんどの社員が中途入社だったわが社も、ついに本格的な新卒採用を開始しました。一番の感想は、新卒を採って育てるのは、楽しい!ということです。もちろんコストはかかります。しかし『これがわが社の経営理念だ』、『ビジョンだ』、『理想社会の実現に向けて一緒に頑張ろう!』と言っていると起業した頃のことを思い出します」

これは、あるシステムインテグレーション企業の社長の言葉です。その社長は

「もっと早く新卒採用をしたかったのですが、知名度もなく、赤字が続いていた頃は無理でした」

とも言っていました。

この話はオンラインセミナーで聞いたのですが、質疑応答の時間があったので

「中途採用の場合でも、経営理念やビジョンを訴えることは重要だと思いますが、社会人には響きませんか」

と質問してみました。

「響く人もいます。そして響く人に来て欲しい。しかしその前に、中途採用の場合はスキルを見ています。例えば経理課長を採用したいとき、理念やビジョンに共感してもらっても、経理のスキルがイマイチだと採用はできません。スキルがあっても理念を共有できない人は採用しませんが、まずはスキルが先。大学生には、夢を語るところから入るので、そこは違いますね」

なるほど、久しく忘れていた感覚を思いだしました。私も大学生に対するリクルーティング活動をしていた時期があります。法学部や商学部の学生と会ったときに、法務や経理に対する適性がありそうか否かを気にしたことはありませんでした。その頃の私は営業部門に所属していて、人事部の先輩からは「一緒に働きたいと思えるかどうかを判断基準にすればいい」と言われていました。一緒に働きたいと感じる学生に出会うと自社のいい面を一生懸命にアピールします。一日に何人もの学生と面談して日が暮れると「あれっ?うちの会社って、そんなにすばらしい会社だったっけ」と同期入社の友人と会話しながら笑いました。

さて、経団連会長の定例記者会見(1122日)のコメント要旨として、以下の言葉が掲載されていました。

「新卒一括採用や長期・終身雇用などを特徴とするメンバーシップ型雇用は、定めた方向に社内一丸となって目標達成を追求する時には非常に有効である。経済が一層グローバル化し、社会が変容している時代には、多様性や円滑な労働移動を可能にする雇用システムへの見直しが必要である。そうとは言え、ジョブ型雇用への完全転換が必要等と早計に結論づけるようなことは、それこそ多様性を認めない考え方である。メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用を適切に組み合わせる自社型雇用システムを検討していくことがよいと思う」

新卒一括採用は終身雇用の起点となっていて、メンバーシップ型雇用の特徴の一つでもありました。しかし、前述のシステムインテグレーション企業の社長は「新卒者が育ってくれたら、できれば定年まで働いて欲しいが、巣立っていくことも認めざるを得ない」と言っていました。

また、1112日の日経産業新聞には「DeNAの南場会長は、粒ぞろいの宝石のような社員たちに起業を促し、長期的な関係を維持することが、DeNAの事業の幅を拡げると考えている」とありました。(「『社員よ起業せよ』DeNA南場氏のザクロ経営」より)

新卒一括採用と終身雇用は一体ではなくなりつつあり、これからは自分の会社を卒業した社員との関係を構築する「自社型の事業環境エコシステム」を作る必要もありあそうです。

2021年10月30日土曜日

二泊三日の面接ツアーに年休は必要? 『ISO通信』第64号(2021.10.30)

 今回のストーリーは、実際にあった二つの事例を一つにまとめているので、下記の内容は事実に即していますが、脚色もあります。主に最初の事例をストーリーのベースにしていますが、最近二つ目の事例があったので、題材として取り上げました。

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大阪に住んでいるAさんが、採用面接を受けるために東京にやってきました。
勤務先での仕事が忙しく、当初は「年休を取る余裕がまったくないので、できるだけオンラインで面接してもらえると助かります」と言っていました。
オンラインでの一次面接に合格したAさんに対して、求人企業(Y社)の人事マネージャーは「二次面接が一番重要なので、なんとか本社に来てもらえないでしょうか」と依頼しました。
そしてAさんは「分かりました。テレワークとフレックスの合わせ技でなんとかします」と答えました。

Aさんは以下の方法を考え、実行しました。

・Y社の近くのビジネスホテルを予約(木曜日と金曜日の二泊)。
・木曜日の朝から16:00まで自宅でテレワーク。それから東京に移動。
・移動の新幹線の中でテレワーク。ホテルにチェックインしてテレワーク。
・金曜日の朝から16:00までホテル内でテレワーク。
・金曜日の17:00からY社で面接を受ける。
・面接終了後、ホテルに戻って、またテレワーク。
・土曜日に大阪の自宅に帰る。

Aさんが勤務している会社のフレックス制度ではコアタイムは10:00~16:00に設定されているので、就業規則上の問題なく面接に対応してもらうことができました。

面接の翌日、Aさんと会話した際に以下のような発言がありました。
「朝も夜もテレワークで働いたので、同僚は私が東京にいるとは思っていないでしょう。今日はちょっと観光してから帰ります。ワーケーションって、こんな感じなのですかね」

もしもAさんの会社の人事部長がこの事実を知ったら「せっかく整えたテレワーク制度やフレックス制度を、他社の面接を受けるために利用されたのではたまらない」と思うでしょう。そして、端末の位置情報を利用して社員を監視しようと考えるかもしれません。しかし、人事部長が「勤務時間中は位置情報アプリをオンにすることをルールにします」と通達したら、転職したくなる社員はさらに増えてしまいます。

人事部から見れば、Aさんの事例はテレワーク制度の目的外利用ということになりますが、Aさんの立場からすると有効活用です。

そもそも、テレワークと転職活動の相性はよく、在宅勤務の時間中に、他社のWEB面接を受ける人は珍しくありません。そしてWEB面接だけで合否を決定する会社も増えてきました。
社員を監視して他社の面接を受けさせないようにするよりも「今の仕事に夢中なので、転職は考えていない」という社員を多くすることの方が人事部にとって重要な仕事になりそうです。