(以下は、2025年2月に『ISO通信』第97号として、メールマガジンにて配信した内容です。)
社会人オーケストラの団体でヴァイオリンを弾いていた友人と久しぶりに会話しました。
「今もヴァイオリン、弾いているの?」「いやー、いろいろあって、ちょっと休憩中」
彼は大学時代に知り合った友人で、一時はヴァイオリンで食べていこうと考えたこともあるほどの腕前です。彼が直近で所属していたアマチュアオーケストラのレベルは、彼にとっては物足りなく、練習に行くたびに、もっと自分で練習してから合同練習に参加したらいいのに、と感じる人が何人かいたそうです。
「下手な人に対して『もっとうまくなってから来い』と言ったことはないけど、顔や態度に出ていたんだろうね。俺の方が浮いちゃってるというか、煙たい人みたいになってきたからやめた」
少し残念そうな顔で彼は言いました。
「磯はまだフリスビーやってんの?」
やがて彼に質問されました。
「年に数回かな。完全に引退したわけでもない」
「そうなんだ、シニア部門で日本一を目指す、とか言いながらやってるのかと思ったよ」
少し説明すると私はかつてフライングディスク(フリスビー)を使った団体競技で日本一を目指していました。そのチームは全日本選手権大会で準優勝したこともあります。しかし私はチームのレギュラーではありませんでした。いつかはレギュラーになる、という気持ちがなくなったとき、そのチームを離れました。次に所属したチームは公式戦で優勝を目指すようなチームではなく、楽しくプレーして美味しいビールを飲もう、というコンセプトのチームでした。「運動した後の美味しいビール」が目的になっているチームに日本一を目指しているような人は入ってきません。
どの団体に所属するかを決めるとき、その集団がどのレベルを目指しているのかを調べておくことは重要です。
転職を考えるときも同様で、自分が応募しようとしている会社がどこを目指しているのかを知っておくべきです。経営理念に「世界最高の水準を目指します」と書いてあるとき、その理念は過去に作られた「お題目」に過ぎないケースもあれば、現在進行系の熱い目標であるケースもあります。
ある業界で世界一になることを目指している経営者から
「ワークライフバランスを重視する人には向かない会社だと思って下さい。しかし、どんな時代になっても世の中から求められる人材に育てる自信はあります」
と言われたことがあります。転職を考えている人にこの言葉を伝えるとひるんでしまう人も多いのですが「ホワイト過ぎてゆるい会社よりもいい」と考える人もいます。
選択をする際には自分自身の価値観や目標を明確にしておく必要があります。フライングディスクの仲間には「仕事はお金を稼ぐため、アルティメット(フライングディスクの競技名)第一」と公言している人もいれば、仕事での充実を求めて競技から離れた人もいます。
遊びでも仕事でも、何かに熱中すると人は成長したくなるようで、退屈な人生を送らずにすみます。
働きながら「退屈だ」とか「窮屈だ」と感じている場合は、組織が進もうとしている方向と自分の価値観がずれているのかもしれません。
「この集団に所属すれば、自分の成長意欲が減退することはなさそうだ」
転職を考える際には、そのような視点で応募先を探してみてはいかがでしょうか。