2017年12月23日土曜日

「人生100年時代」を追いかけよう!(2017年12月号vol.18)

「キャリア60年時代」が近づいてきました。
100歳まで生きることが当たり前の時代が来れば、20代から80歳くらいまでが就労現役世代になるでしょう。

60歳定年が当たり前の頃は、50歳になると逃げ切りを考えるサラリーマンがたくさんいました。
「30年近く働いたのだから、後10年でうちの会社がなくなってしまうことはないだろう」
「後10年くらいは課長でいさせてくれるだろう」
50歳近くなると「逃げ切り派」のサラリーマンはそんな風に考えるようになります。
当然のことながら、チャレンジングな仕事をする気は起きず、ミスせずに怒られないように働けばOKという姿勢になります。そして、過去の経験則を頼りに保守的な選択しかしなくなります。

「過去の経験だけでは生き残れない大変革の時代にいるのです」
と経営者に言われても
「それを乗り越えるのがあなたの仕事でしょ」
と思っているので、行動パターンが大きく変わることはありません。
そして倒産や事業からの撤退によって、自分の仕事がなくなってしまう段階になって初めて慌てることになります。

と、偉そうに書いていますが、あと一年で50歳になる私も「この仕事で逃げ切れるだろうか」と思ってしまうことがあります。
人材紹介のビジネスモデルは、マッチングビジネスです。賃貸マンションを扱う不動産屋さん、結婚相手の紹介、企業売買のM&A仲介など、マッチングビジネスにもいろいろありますが、AIが進化するほど、人間の介在余地が少なくなっていくはずです。



結婚相手は人間に紹介してもらいと考える人もいれば、結婚相手こそAIのシミュレーションで最適と判断された人を選びたいと考える人もいます。
人間に紹介してもらった場合とAIに紹介してもらった場合の離婚率が統計的に示されるようになれば、AIを活用すべきか否かの結論が出るでしょう。
そして私は「たぶん、AIを活用した場合の方が離婚率は低くなるのだろうな」と考えています。

「しかし、人材紹介は違います。人材紹介の場合は、AIじゃなくて人間の仲介が絶対的に必要なんです!」

と力説したら、ただの我田引水になってしまいますね。
人材紹介の分野でもAIは既に大きな力を発揮し始めています。しかし、すべての仕事がAIに代替されるわけではなく、人間がやるべき仕事も必ず残ります。

「AIの波に飲み込まれてしまわないように、勉強したり創意工夫したりして、なんとかこの業界で生き残ろう。人間がやるべき仕事はどんどん減っていくが、それを任せてもらえる人間になろう」
と思っているのですが、ふと気づけばこれも「逃げ切り型」の思考かもしれません。

大学を卒業してから25年が経ちました。しかし、あと30年も働けると考えれば、まだ30代のような気持ちになることもできます。
そう考えるとリカレント教育(学ぶ→働く→知識が陳腐化する前に再び学ぶ→また働く、の繰り返し)の大切さを実感できます。
30歳の頃は、「明日、やろう」「また明日でもいいや」と思いながら過ごしたのですが、今は「ひょっとする残された時間はごく僅かかもしれない」と考えることもでき、先延ばし傾向は減ってきました。

我が社には60代の人も30代の人も転職相談にやってきます。
60代の人に「人生100年時代ですよね」と言うと明るく微笑んでもらえるのですが、30代前半の人には「正直言って、ピンときません。でも、やりたいことにたくさん挑戦できそうですね」と言われました。

それを聞いて
Boys, be ambitious.
という言葉を思い出しました。
人生100年時代は、少年期も長くなるのかもしれません。

私も気持ちだけ青年に戻って「逃げ切り派」から「追いかけ派」に移ろうと思います。

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今年も『ISO通信』にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。