2018年3月25日日曜日

セクハラ、パワハラ、親ハラ??? (2018年3月号 vol.21)

「お父さんの電気屋さんを手伝うから進学しなくていいよ。うち、家計が大変じゃん」
と息子が言うと「なまいき言うな!」と父親は怒り、最後に

「学んだことは誰にも奪われないから」

と諭して進学を勧めます。
au三太郎シリーズのテレビCMで「鬼ちゃん」が息子の「赤鬼くん」に言った言葉を聞いたとき
「そうなんだよ。学んだことは確実に自分のものになるんだぞ」
と二人の息子に言うと、シラーっとした空気がリビングに広がりました。まあ、想定内です。

CMの続編では、赤鬼くんに反抗期が来ていました。鬼ちゃんが「うちの息子にも反抗期がきました!成長の証です。」と喜んでいると、赤鬼くんは「やめて」と言って怒ります。
中学二年の我が家の長男も反抗期まっさかり。そして兄の影響で小五の次男まで、早々に反抗期に入ってしまいました。むしろ長男よりも父親を毛嫌いする気持ちが強いような…。しかし、小学生なのでまだ子供っぽいところもあります。先日は、アニメのオープニングの場面に合わせて、歌いながら踊っていました。
そのとき、冗談のつもりで「ビデオに撮っちゃおうかな」と言ってスマホを構えるふりをしました。やりながら“あ~、これ、絶対に嫌がるな”と気づいたのですが、次男は「撮らないで!」と怒り、踊りを止めました。

「冗談だよ。いいじゃないか、昔はたくさん撮ったんだから」
と言ってみましたが、次男の機嫌は直りません。
「うちの息子にも反抗期がきました!」と言って鬼ちゃんの真似をするとさらに怒りそうなので止めておきました。

さて、ここで次男の気持ちになってみると、ビデオに撮ろうとした私の冗談は、親の立場を利用したハラスメント行為だと感じるかもしれません。私自身、中学生の頃は父親にからかわれる事がすごく嫌だったので、次男の気持ちを理解できないこともありません。
たわいない冗談のつもりが相手にとっては本当に不快なハラスメントになってしまう。これってセクハラと同じ構造だと思いました。
悪意のあるセクハラは厳しく断罪されるべきですが、話している途中で“あっ、これって相手は不快に感じるかもしれない”と気づいた場合には、すぐに謝りましょう。

「学んだことは誰にも奪われないから」と繰り返すことも、子供にとってはハラスメントかもしれません。しかし、親としては子供を正しく指導する必要があります。
指導とパワハラの関係について
「パワハラの加害者は自分の行為を『部下を育てるために必要な指導だ』と必ず言い訳します」
と産業医の先生に聞いたことがあります。
「パワハラと指導の境界を明確に線引きすることはできませんが、部下が育っていないのなら、その上司の行為はパワハラに近いのだと私は考えています」
とも先生は言っていました。


部下の育成と子供の教育は同じではありませんが、成長の方向がおかしいと感じたら、自分の教え方にも注意してみようと思います。