2019年12月28日土曜日

応援されるとスポーツ選手や会社員のパフォーマンスは上がるのか? 『ISO通信』 2019年12月号 vol.42

今年の12月は、例年よりも飲む機会が多くありました。
飲み会の席にラグビー好きの人がいると
「サンウルブズは勝てなかったのに、なぜ日本代表は強かったのですか」
と質問しています。
サンウルブズは、南半球のプロクラブによるラグビーリーグである『スーパーラグビー』に参戦している日本チームで、ヘッドコーチは日本代表のジェイミー・ジョセフ氏が兼任し、メンバーも現役日本代表や日本代表候補で構成されています。
ラグビーに関して、にわかファンの域を出ない私ですが、2019年のシーズンにおいて、サンウルブズが2勝14敗の成績であることは知っていました。
そのため、ワールドカップで日本がベスト8に残れるとは、思っていませんでした。
アイルランドに勝利した後でさえベスト8は厳しいと思っていたので、スコットランドに勝ったときは心が揺さぶられるほどの感動がありました。テレビの画面に向かって「スゴイ!そして疑っていてゴメン」と言いたくなりました。
さて、質問に対する答えは二種類あって
「日本全国で、あれだけ応援されたら100%以上の力が出るよ」
という意見が主流でした。
(もう一つの答えは「サンウルブズは常にベストメンバーを組める状況ではなく、代表選手だけが試合に出ていたわけではなかった」というものです。)
応援が力になることはプロスポーツの世界では統計的に確認されていて、野球もサッカーもホームスタジアムでの勝率と、敵地での試合も含めたトータルの勝率を比較すると、通常はホームでの勝率が全試合での勝率を上回ります。
今シーズンのプロ野球の記録を確認したところ、セ・パ合わせて12球団のうちヤクルトスワローズ以外の11球団において、ホーム球場での勝率が全試合での勝率を上回っていました。
サッカーのJリーグに関しては、1993年~2016年までに行われた5,159試合の結果を調べた人のブログによると、ホームでの勝率42.5%に対して、アウェイでの勝率は33.7%になるそうです。(90分で決着しなかった試合は引き分け扱い)
応援が力に変わるなら、職場においても上司が部下を応援すれば、メンバーのパフォーマンスは上がるのでしょうか。
しかし、毎日毎日、上司に「ガンバレ、ガンバレ」と言われたら、パワハラで訴える方向で力が発揮されてしまいそうです。
上司に応援されると「うっとうしさ」や「プレッシャー」を感じる人もいて、普段通りのパフォーマンスにならないケースもあります。
では、お客さんに応援された場合はどうでしょう。
お客さんから「頼れるのはあなたの会社しかないので、何とか助けて下さい」と言われたらプレッシャーになるかもしれません。しかし、自社と競合他社のいずれかをお客さんが選べる立場にあり、それでもなお
「今度のプレゼンテーションでは、あなたの会社に頑張ってもらいたい」
と期待されたら、俄然、やる気がでるのではないでしょうか。
B to Bのビジネスでは、お客さんの製品やサービスのファンになると、お客さんもこちらを好意的に見てくれるようになります。逆にお客さんのプロダクトに愛着を感じない場合、自社の製品やサービスの質が高ければ売ることは可能ですが、お客さんから応援してもらうレベルにはならないでしょう。
お客さんを応援し、お客さんからも応援してもらう。
それが出来れば、いつもホームグラウンドで戦うような心理状態で、高いパフォーマンスを発揮できそうです。