見出しをつけるなら、こんな感じでしょうか。
日本生産性本部が3月に公表した「世界経営幹部意識調査」を興味深く読みました。
世界の経営幹部1,538名から得たアンケート回答のうち、日本生産性本部では、CEO 909人(うち日本人118人)の回答を抜粋し、日本、米国、ドイツのCEOの特徴を比較・分析しています。
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/c-suite-challenge202103.pdf
詳細は上記のサイトを見れば確認できますが、設問の一つに以下の質問と選択肢があります。
「2021年、貴社が経営課題を解決する上で障壁となるものはどれですか」
1)優秀な人材の不足
2)新型コロナウイルス感染症に関連した混乱
3)現行ビジネスモデルへのこだわり
4)革新的な組織文化の欠如
5)事業成長のためのデータの活用が不十分
6)変化を嫌う姿勢
7)データ分析スキルの欠如
8)不十分な組織内コミュニケーション
9)戦略的ビジョンの欠如
10)組織内の連携の欠如
11)多様性の欠如
12)ビジネスニーズを満たすためのリソースの制約
13)成果を公正に評価する能力の欠如
14)変化に抵抗する従業員
15)時代遅れのテクノロジー
16)変化に抵抗する中間管理職
17)縦割りの組織
18)従業員のエンゲージメント・レベルの低さ
19)戦略的ではない人事
20)規制
21)実情に合っていない報酬体系
22)短期的業績を重視するリソース配分
23)排他的な組織風土
この中から、最大五つまで選べるとしたら、どの項目を選びますか?
アメリカでもドイツでも「新型コロナウイルス感染症に関連した混乱」がトップであり、アメリカの経営者の62.5%、ドイツの経営者の60.5%がこの項目を選んでいます。
一方で、日本の経営者がこの項目を選択した割合は27.2%であり、欧米と比較するとコロナ禍が経営に与える影響は低いのかもしれません。
アメリカの経営者が、2番目に多く選んだ項目は「ビジネスニーズを満たすためのリソースの制約」の30.0%で、3番目が「時代遅れのテクノロジー」の27.5%でした。
一方で「時代遅れのテクノロジー」を選んだ日本の経営者は10.5%でした。個人的には、日本の経営者こそ「時代遅れのテクノロジー」について心配すべきではないかと思うのですが、アメリカの経営者の方がテクノロジーに対して敏感なのでしょう。
ドイツの経営者が2番目に多く選択した項目は「規制」の35.7%でした。規制を選んだアメリカの経営者は21.7%で、日本は7%です。日本の経営者は「規制」を所与の条件と考えて諦めてしまったのでしょうか。それとも「規制に守られている」と感じる経営者も多いのでしょうか。
ここに紹介した設問と選択肢に関して、実は1)から23)までの順番は日本人の経営者が選んだ順番です。
日本の経営者がトップに上げたのは「優秀な人材の不足」で32.5%でした。この項目はドイツでも3番目で34.1%です。しかし、アメリカでは9番目の14.2%でした。「優秀な人材の獲得」が上位に来ないところが、アメリカ企業の強みなのでしょう。
この他にもいろいろと興味深い設問と回答がたくさんありますので、是非、ご覧になって下さい。