2020年5月30日土曜日

どこで働きたいですか? 『ISO通信』 2020年5月号 vol.47


「うちは出来ない会社なのではなく、やらない会社だということがよく分かりました。それが転職したくなった理由です」
電機メーカーに勤めている男性から聞いた言葉です。

その会社がやろうとしていないことは「テレワーク」です。在宅勤務が可能な部署ではテレワークを導入しているそうですが
「会社は、テレワークを本気で活用する気はないようです。コロナが終われば、元に戻ってしまうでしょう。たとえコロナ騒動が12年続いたとしても」
と、その男性は言いました。

電鉄会社に勤務している男性からも同じような話を聞きました。時間通り正確に電車を運行させることを使命にしている会社が保守的なカルチャーになることは想像できます。しかし、電鉄会社の男性も「できないのではなく、やる気がない」ことに不満を持っていました。
二人の男性に共通していたのは「変化を嫌う体質を嫌っている」ことでした。
電鉄会社の男性は「テレワークを真剣に検討してメリットが少ないと判断したのなら、導入しなくてもいいのです。でも、ほとんど検討もせずにウチには合わない、と考える姿勢がイヤなのです」と言っていました。

日経BizGateのサイト(57日付け)に“「収束後もテレワーク中心に働きたい」4割 ”と題した記事がありました。
新型コロナ禍収束後にどんな働き方をしたいか?の問いに対する回答が下記です。
・オフィスだけで働く:7.5
・オフィス中心にテレワークでも働く:53.4
・テレワーク中心にオフィスでも働く: 35.1%、
・テレワークだけで働く:3.9
テレワーク中心派が約4割、オフィス中心派が約6割となっています。
オフィスだけで働きたいと考える人は1割もいないので、9割の人はテレワークも使いたいと考えていることになります。



同サイトには、テレワークでの生産性を問う質問もありました。
「下がった」と「やや下がった」の合計が42%で、「上がった」と「やや上がった」の合計が27%でした。
この数字を見てテレワークを継続したくないと考える経営者もいるかもしれません。
社員数が20人くらいの会社を経営している友人は
「(社員の)働きぶりをちゃんと見ていないとダメだな。正直、テレワークで自律的に働いてくれる人を雇えるほどの給料を出せていない。経営者の実力不足と言われたらそれまでだけど」
と嘆いていました。
一方で、部分的なテレワークから全面的なテレワークに切り替えた会社もあります。
「オフィス中心にテレワークでも働く」と答えた53%の人は、固定的なオフィスを持たない会社に不安を感じるのかもしれません。

雇う人にも雇われる人にも様々な思いがあります。
監視や時間管理の厳しい会社では働きたくないと思うのなら、労働力を提供する場所や時間を選ばずに成果を出せる準備をしておく必要がありそうです。