2021年7月30日金曜日

「努力は嘘をつかない」と信じ続ける 『ISO通信』第61号

夏のオリンピックで柔道の試合を観戦するたびに、北京五輪で金メダルを獲得した石井慧選手の言葉を思い出します。

「神様っちゅうのはねぇ、がまんしてがまんして全部がまんした人にやっと一つだけご褒美をくれるんです」

大会後のドキュメント番組で語った言葉だと記憶しています。

4年間、我慢にがまんを重ね、やっと一つもらえるご褒美が金メダル。本当に重いメダルなのだと思います。 

ロンドンとリオデジャネイロの大会では、ソフトボールは五輪競技から外れていました。北京大会からの13年間、上野選手はいろいろなことをがまんしてきたことでしょう。そうして二つ目の金メダルを手にしました。 

オリンピックという舞台がないために、なかなか注目を集められないスポーツもあります。ゴルフがオリンピック種目入りすることが決まったとき、スカッシュの選手が発した言葉も印象に残っています。「ゴルフを選ばなくたっていいじゃない。ゴルフの人には輝ける舞台がいくらでもあるのだから」リオデジャネイロ大会の種目に、スカッシュが選ばれる可能性もありましたが、IOCの委員は、ゴルフと7人制ラグビーに投票しました。

私が長年にわたって親しんできた、フライングディスク競技の「アルティメット」もオリンピック種目入りを悲願としているので、スカッシュ選手の気持ちがよく分かります。

 オリンピックではありませんが、ある女子プロゴルファーがラジオ番組で語っていた言葉もときどき思い出します。

もう10年近く前のことで選手の名前は忘れましたが、国内のツアー選手権での順位が21位だった人の言葉です。

「私より努力している人が20人いるのです。そう思うしかありません。もしかすると私より努力している人は5人しかいなくて、後の15人は私よりゴルフの才能が豊かなだけかもしれません。でも、他人の才能をうらやんでもどうにもなりません。努力の量であと20人を抜き去ってチャンピオンになるか、諦めて引退するかの二択です」

 オリンピックから離れていきますが、昔、高校生の陸上競技大会を見学したとき、たくさんのチームがおそろいのTシャツを着てウォームアップをしていました。

シャツの背中には「努力は嘘をつかない!」とか「限界とは自分の心が決めるもの」などと書いてあり、真夏の太陽を背負いながら陸上部員たちが目の前を走っていました。

その大会は、インターハイの予選にもなっていた関東大会で、母校から出場している選手を陸上部の監督と一緒に応援していました。 

「背中の文字が青春ですね、みんなかっこいいなあ」と私が監督に言うと

「努力は嘘をつかないって、最後まで信じられる人間が強いのですよね。磯さん、今でも信じてます?」

と質問されました。

そのとき私は「ハイっ」と元気に答えられたのか「いやぁ、大人になると純粋なままじゃ、いられないですよね」などと答えたのか忘れてしまいました。 

それでも、アスリートが限界を超えようとしてプレーする姿を見ていると「他人の才能をうらやむよりも、自分にできる努力をするしかない」ことを思い出します。

 がんばれ、世界中のアスリートたち!