「ふるさと納税」
どうしてこの制度が成り立っているのか不思議です。
きちんと計算すれば、確実に得をする仕組で、しかも高額納税者ほど還元額が大きい。金持ち優遇制度だ!と怒る人がいそうな気がしますが、今のところ少数意見のようです。
ご存じのかたもたくさんいると思いますが、この制度では2千円でいろいろな物が買えてしまいます。例えば、ある自治体に3万円の寄付をすると所得税と住民税から2万円8千円が控除されます。寄付してもらった自治体は返礼として9千円くらいの品物を送ってくれるので、返礼品リストに自分の欲しいものがあれば、それを2千円で買うことができるわけです。(「返礼品を買う」という表現は制度の趣旨に照らすとかなり不適切ですが、実感としてはそうなります。)
「やらない理由がない」と友人に勧められたとき、そんなウマい話は危ない、と思って総務省のホームページを見てみました。
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「納税」という言葉がついているふるさと納税。
実際には、都道府県、市区町村への「寄附」です。
一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。ですが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。
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以上が総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」に記載されています。
私は栃木県で生まれ、大学生になって東京に出てきました。18歳まで栃木県の行政サービスを受けてきたわけですが、故郷の自治体に住民税を納めたことはありません。自分を育ててくれた「ふるさと」に納税できる仕組みがあってもいいではないか、ということがこの制度の原点だそうで、その趣旨には賛同できます。
そして、ふるさと納税のサイトを開いてみると、縁もゆかりもない自治体の返礼品に惹かれてしまいました。というか、買いたいと思っていた商品そのものが返礼品になっているのです。
うーん、賛同したはずの趣旨とはまったく違う自治体に寄付していいのだろうか、と思いましたが物欲に負けました。
「ふるさと納税」をする人の数は爆発的に増え、今年は300万人近い人が利用しているそうです。しかし、2千円で高額商品を買えてしまう仕組みには違和感があり、豪華な返礼品はやがて消えていくと思います。返礼品が質素であれば、自分が生まれ育った故郷ではない自治体に寄付する人は減るはずです。
仮に制度が変更になって返礼品が廃止されても、たまには故郷に寄付してもよいと思っていますが、実際には面倒と感じて行動しないかもしれません。
この制度がどのような形で定着していくのか気になりますが、税金のことを考えるきっかけになることは確かです。
*「ふるさと納税」してみようと思った方は、総務省などのサイトで詳細を確認し、全額控除の上限額、実施時期(12月31日の場合、完了時間)、一時所得の課税などについてご注意下さい。