2021年5月29日土曜日

自分でコントロールできることにフォーカスしよう 『ISO通信』 2021年5月号 vol.59

 「『ユーミンの都市伝説』が本当かウソか知りませんが、これはもう絶対に真似るべきです。優秀なクリエイターはどこにいてもネタを拾う努力をしています」

この言葉をテレビやラジオで聞いたのか、WEBサイトなどで読んだのか忘れてしまいましたが、久しぶりに実践の機会がありました。
『ユーミンの都市伝説』とは「ユーミン(松任谷由実さん)は、深夜のファミリーレストランで女子高生の会話にこっそり耳を傾け、それをヒントに作詞をしている」というもので、真偽のほどは存じません。

緊急事態宣言の期間中は、通勤電車に乗る機会も少ないのですが、先日、20代前半くらいの男性の会話が聞こえてきました。名前を知らない二人なので、AさんとBさんの会話形式で再現してみます。

A:デジタル庁の職員募集に、けっこう優秀な人が集まってるっぽいね。
B:えっ。デジタル庁ってもうあるんだっけ?
A:いや、まだ準備中だけど、人材募集してるよ。
B:優秀な人が集まってるの?
A:ツイッターで見てるだけなんだけど、こんな優秀な人が応募するんだって感じの人が結構いた。
B:ふーん。でも日本のITってダメダメってイメージあるよね。予防接種の予約とか。
A:いや、だからこそ伸びしろあると思わない?日本って、こんなにITが遅れてるのに、そこそこいい国じゃん。デジタル庁だけじゃないけど、ITが機能したら、もっと発展すると思うんだよね。
B: ふーん。デジタル庁に本気で期待してんの?
A:うーん、50パーくらい。

この会話を聞きながら、日本のことを「衰退途上国」と呼んでいる人のことを思い出しました。感染者の数を報告するのにFAXが使われていたり、感染予防ワクチンの接種が思うように進まなかったりする状況に、日本のことを「衰退途上国」と呼びたくなる人の気持ちも分かります。しかし「伸びしろのある国」と思っていた方が楽しく過ごせそうです。

さて、今回、電車の中で拾ったネタはこれだけの話ですが、在宅勤務でずっと家の中にいると、心の動きが緩慢になるように感じています。ここ数カ月は『ISO通信』を書くネタに困ることが多くなりました。以前は飲み会での友人との会話やセミナー会場で会った人との雑談などがなんらかのヒントになっていました。しかし最近は飲み会もなく、セミナーもオンライン形式ばかりで、隣り合って座った人と雑談するような機会もありません。そろそろ自粛モードを解除してアクティブに動きだしたいところですが、まだしばらくは我慢の時期でしょうか。

ワクチンの接種が進んでいる国の様子を見ると羨ましくなって、日本の状態にイライラすることもありますが、政府の対応を批判するより「伸びしろのある国」と思って待つ方が心は落ち着きます。
そういえば、先週のオンラインセミナーで「自分でコントロールできることにフォーカスしよう。コントロールできないことに悩んでも仕方がない」と教えてもらいました。
ワクチンの予約システム構築はデジタル庁に期待することにして、自分のやりたいことやコントロールできそうなことにフォーカスしょうと思います。



2021年4月25日日曜日

世界の社長さん909人に聞きました 『ISO通信』 2021年4月号 vol.58


 「世界の社長さん909人に聞きました!」

見出しをつけるなら、こんな感じでしょうか。


日本生産性本部が3月に公表した「世界経営幹部意識調査」を興味深く読みました。

世界の経営幹部1,538名から得たアンケート回答のうち、日本生産性本部では、CEO 909人(うち日本人118人)の回答を抜粋し、日本、米国、ドイツのCEOの特徴を比較・分析しています。

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/c-suite-challenge202103.pdf

詳細は上記のサイトを見れば確認できますが、設問の一つに以下の質問と選択肢があります。

「2021年、貴社が経営課題を解決する上で障壁となるものはどれですか」

1)優秀な人材の不足

2)新型コロナウイルス感染症に関連した混乱

3)現行ビジネスモデルへのこだわり

4)革新的な組織文化の欠如

5)事業成長のためのデータの活用が不十分

6)変化を嫌う姿勢

7)データ分析スキルの欠如

8)不十分な組織内コミュニケーション

9)戦略的ビジョンの欠如

10)組織内の連携の欠如

11)多様性の欠如

12)ビジネスニーズを満たすためのリソースの制約

13)成果を公正に評価する能力の欠如

14)変化に抵抗する従業員

15)時代遅れのテクノロジー

16)変化に抵抗する中間管理職

17)縦割りの組織

18)従業員のエンゲージメント・レベルの低さ

19)戦略的ではない人事

20)規制

21)実情に合っていない報酬体系

22)短期的業績を重視するリソース配分

23)排他的な組織風土

この中から、最大五つまで選べるとしたら、どの項目を選びますか?

アメリカでもドイツでも「新型コロナウイルス感染症に関連した混乱」がトップであり、アメリカの経営者の62.5%、ドイツの経営者の60.5%がこの項目を選んでいます。

一方で、日本の経営者がこの項目を選択した割合は27.2%であり、欧米と比較するとコロナ禍が経営に与える影響は低いのかもしれません。

アメリカの経営者が、2番目に多く選んだ項目は「ビジネスニーズを満たすためのリソースの制約」の30.0%で、3番目が「時代遅れのテクノロジー」の27.5%でした。

一方で「時代遅れのテクノロジー」を選んだ日本の経営者は10.5%でした。個人的には、日本の経営者こそ「時代遅れのテクノロジー」について心配すべきではないかと思うのですが、アメリカの経営者の方がテクノロジーに対して敏感なのでしょう。

ドイツの経営者が2番目に多く選択した項目は「規制」の35.7%でした。規制を選んだアメリカの経営者は21.7%で、日本は7%です。日本の経営者は「規制」を所与の条件と考えて諦めてしまったのでしょうか。それとも「規制に守られている」と感じる経営者も多いのでしょうか。

ここに紹介した設問と選択肢に関して、実は1)から23)までの順番は日本人の経営者が選んだ順番です。

日本の経営者がトップに上げたのは「優秀な人材の不足」で32.5%でした。この項目はドイツでも3番目で34.1%です。しかし、アメリカでは9番目の14.2%でした。「優秀な人材の獲得」が上位に来ないところが、アメリカ企業の強みなのでしょう。


この他にもいろいろと興味深い設問と回答がたくさんありますので、是非、ご覧になって下さい。

2021年3月28日日曜日

相手の気持ちになってみよう 『ISO通信』 2021年3月号 vol.57

オリンピックの演出責任者が辞任したニュースを見て、久しぶりに中学時代の先生の言葉を思い出しました。
「頭髪の薄い人に向かって、ハゲと言ってはいけない。太った人にデブと言ってはいけない。背の低い人にチビと言ってはいけない。お前たちの中には、事実を言って何が悪い、と思うやつもいるだろうが、言われた方が嫌な気持ちになることを考えろ」と教えられました。
私はその言葉にちょっとした衝撃を受け、それ以来、気をつけるようになりました。

まあ、しかし所詮は中学生。先生がいないところでは、ハゲとかデブとか平気で言う生徒もたくさんいました。ガキ大将的な立場の同級生に「デブとか言うの、やめようよ」と言った結果、自分がイジメの対象になってしまったことがあります。
当時の私は“理不尽な世の中だ”と思ったのですが、今考えてみれば、ガキ大将をねじ伏せる腕力もないのに正論を吐けば、いじめられて当然とも思えます。

大人の世界も同じで、真面目に抗議してもいじめられるだけなので、「文春砲」でガキ大将をねじ伏せたのではないか、と勘ぐってしまいました。
しかし、単なる妄想の可能性もあるので、組織内のゴタゴタについて想像することはやめました。

さて、慕われているリーダーの中にも口の悪い人はいて、他人をおとしめるような発言をしても、許されてしまう人がいます。
数年前のことですが、某所でこんな会話がありました。
A氏「Yさんって、カッパみたいなハゲだよな」
B氏「でた!Aさんの毒舌!」
C氏「Aさん、ホント口が悪いよね。Yさんに伝わったら怒られるよ」
A氏「よし、わかった。今の発言は取り消す。ハゲじゃなくて、ゲーハー!」
ガハハ、と笑ってそれでおしまいです。

そのとき私はAさんに向かって「ハゲとか言うの、やめようよ」とは言いませんでした。近しい関係だったので、Aさんの発言を不快とは感じなかったのです。しかし不適切だとは思いました。でもAさんを注意できる立場でもない。Aさんは私からみて目上の人です。
今なら「そんなこと言うと、どこかに発言が流出して大変なことになりますよ」くらいのことは言えるかもしれません。

しかし本当は「発言が流出して自分の評価が落ちるから言わない」のではなく、人の容姿に対して失礼な発想をしないことが大切です。
「言われた方が嫌な気持ちになることを考えろ」と教えてくれた先生に感謝です。

2021年2月27日土曜日

中途採用比率の公表義務化で思うこと『ISO通信』 2021年2月号 vol.56

 4月1日から、社員数が301人以上の企業においては、中途採用比率の公表が義務化されます。

「今年度の採用実績として、わが社では新卒採用が〇〇%、中途採用が〇〇%でした」
という情報をホームページなどで公表することが、法律上の義務となるわけです。

上記のこと(労働施策総合推進法の改正)を知ったとき、国が雇用の流動性を高めようとしている姿勢の一環だな、と感じました。
この法律で、採用比率の公表を義務化されているのは、常時雇用する労働者の人数が301人以上の企業です。法律の趣旨を説明する厚労省のサイトには、リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査(2017年度実績)」による中途採用比率の数字がありました。

従業員数 :          中途採用比率      新卒採用比率
5~299人 :          76.7%                 23.3%
300~999人 :      41.5%                 58.5%
1,000~4,999人: 40.4%                 59.6%
5,000人以上 :      37.4%                 62.6%

職業紹介事業に従事しているので、
「大企業は新卒採用重視、小企業は新卒者の採用が困難、中堅企業は社員数が100人くらいまで増えると新卒採用に力を入れ始める」
といった傾向があることは知っていました。
しかし、300~999人までの企業の新卒採用比率が6割近いこと、そして5,000人以上の大企業においても同じような割合であることは意外でした。

社員の数が増えると、新卒者を採用する余裕ができます。企業規模が大きくなってくるとなぜ、新卒者を採用したくなるのでしょうか。
新卒採用を支援する企業に勤めている知人から「スタートアップ企業の事業が安定し始め、自社の企業カルチャーを確立したいと感じる時期がきたら、新卒採用を始めるべきだ」と聞いたことがあります。新卒者の場合、自身の職業的なスキルが「就活」の軸にはならないので、企業理念への共感で就職先を選ぶこともあるからだそうです。
なるほど、分かる気がします。ただ、別な見方をすれば、新卒者は自社カルチャーに染め上げやすい、とも言えます。共感すべき企業理念が消え去り、コンプライアンス違反を気にしない風土であっても、新卒者であれば「社会ってこんなものか」と思ってしまうかもしれません。
社会人経験がある人の場合、中途で入社した企業に遵法意識がないと分かったら、この会社にいてはまずい、と思ってすぐに転職活動を再開するケースもあります。

転職相談においては「その会社には、中途で入社した人はどれくらいいるのですか?」と質問されることはときどきあるので、中途採用比率の公表には意味があると思います。

厚労省のホームページでは、今回の法律改正について「中途採用に関する情報の公表を求めることにより、企業が長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況を明らかにし、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進します」と記載されています。

中途採用と新卒採用の比率がどれくらいだと、生産性がもっとも高まると言えるのかを知りたいところですが、どなたかご存じのかたがいたら教えて下さい。
(あるいは、4:6が黄金比率だから、300人以上の企業ではそれくらいの数字に収れんされてきたのでしょうか。)



2021年1月30日土曜日

カメラをオンにして質問力アップを! 『ISO通信』 2021年1月号 vol.55

「私のことは全然聞かれずに、私からの質問だけで面接が終了しました」
二次面接を終えたAさんから、電話で連絡がありました。
Aさんは、当社がZ社に推薦した方で、一次面接では非常に高い評価を得ていました。

「経歴書や一次面接でAさんのことよく理解できたので、二次面接ではAさんの質問に答える形にしたのだと思います。Aさんのことですから、鋭い質問ばかりだったことでしょう」
「鋭い質問だったかどうかは分かりませんが、会社の状態や今回のポジションの役割、私が何をすべきかなどを、よく理解できました」
Aさんとの電話で、Z社に対する志望度が高まっていることを感じました。

後日、Z社の人事部から連絡があり「是非、最終面接に進んでもらいたいと思います。二次面接では、Aさんからたくさんの質問を頂きましたが、こちらの課題を浮き彫りにするような質問ばかりで、自分ならどうするという意見もお持ちでした」とのことでした。

話は変わりますが、働き方の変革に関するオンラインセミナーに参加した際に、主催者側の設定で、閲覧者の「カメラはオフ・音声はミュート」になっていました。

100名以上の参加者がいたようで「カメラオフ・音声ミュート」はやむを得ないと思うのですが、セミナーというよりもYouTube映像を観ているような感覚になりました。質疑応答の時間もあったのですが、質問はチャットボックスに文字を書き込むスタイルで、私自身は質問せずに終わってしまいました。
会場に足を運んでのセミナーやカメラをオンにした状態のオンラインセミナーでは、わりと質問する方なのですが「カメラオフ・音声ミュート」と知って、緊張感を持たずに参加してしまったことが原因です。

上記とは別に、定例で参加しているオンラインセミナーが二つあるのですが、そこで話を聴くときは「カメラオン・音声ミュート」にしています。私のパソコン画面では、講話する人の顔が大きく、聴講者の顔は小さく映り、参加者全員の顔を見るには小さい方の画面をスクロールする必要があります。
講話者も聴講者も私の顔を注意して見ることはないと思いますが、カメラをオフにしているときと違って「居住まいを正す」気持ちが芽生えます。
そのような姿勢で話を聴いていると、質問したいことが自然に頭に浮かんで来るので、メモしておきます。とくに疑問を感じることがない場合でも、質疑応答の時間には、何か質問すべきことはないだろうかと考えるようにしています。陳腐な質問だと思えば、実際に手を挙げることはありませんが、常に質問する意識を持っていると質問する力も上がってきます。

質問力を高めておくと、Aさんの二次面接のような状況でなくても役立つ場面はたくさんあります。お客さまとの商談においても、鋭い質問力と課題を解決する力があれば、信頼できるパートナーと認めてもらえるでしょう。

他のことをしながら、オンラインセミナーや説明会に参加した形跡を残したいケースもあると思いますが、カメラを止めずに質問力アップを意識して、参加してはいかがでしょうか。

2020年12月26日土曜日

定年退職制度がなくなると… 『ISO通信』 2020年12月号 vol.54

定年退職制度を廃止した企業の人事マネージヤーと会話した際に質問してみました。
「定年がないと、どんなときに退職することになるのですか」
「パフォーマンスが下がったときです。70歳近くなった人に、そろそろ潮時じゃないですか、と退職を促すことはあります」
「すると50歳の人のパフォーマンスが、引退すべき70歳の人のパフォーマンスと同じである場合、退職を促すことになりますか」
「本来は、そうなります。年齢で差別しないので、同じパフォーマンスなのに70歳の人には引退を勧告し、50歳の人に何も言わないわけにはいきません。解雇ではありませんが、パフォーマンスが上がらない人には年齢と関係なく退職を勧告することになるでしょう」
実際の会話はもう少し穏やかな言い回しでしたが、ちょっとデフォルメして書きました。

定年退職の年齢を70歳に引き上げた会社も定年退職制を廃止した会社も、人事制度としては進んでいると評価されますが、中身は全然違いそうです。
定年はないが40歳や50歳でも退職勧告される可能性のある会社と70歳までの雇用が保証されている会社では、後者の方が居心地がよいと感じる人が多いでしょう。しかし、わが社にいれば70歳まで安泰と考える社員ばかりでは、10年後には会社がなくなっているかもしれません。

法律の面では、2021年4月1日から「改正高年齢者雇用安定法」が施行されます。現在の同法において企業には以下の義務があります。
・定年退職の年齢を60歳未満に設定してはいけない。
・定年退職の年齢を65歳未満に設定している場合は、次のいずれかの措置を講じなければならない。
「65歳まで定年年齢を引き上げる」
「65歳までの継続雇用制度を導入する」
「定年退職制度を廃止する」

このため多くの企業は「65歳までの継続雇用制度」を導入し、実態としては定年から65歳までの期間を契約社員として雇用することが多いようです。

そして来年の4月からは70歳までの「就業確保」が努力義務となります。当面は努力義務ですが、やがて年金の支給年齢が引き上げられ、努力義務が義務に変わるでしょう。

厚労省の資料には、今回の法律改正で、65歳までは「雇用確保」の義務があり、70歳までは「就業確保」の努力義務があると明記されています。
「就業確保」の方法には、社員と労働契約を結ぶ「雇用確保」の他に、社員に個人事業主になってもらい、仕事を(業務委託などの形で)発注することで、就業の機会を確保する方法もあります。

60歳を過ぎて個人事業主として働き始める人の話を聞くことがあります。工場の技術指導や中小企業の海外進出支援などのコンサルティングをする人が多いのですが、想定していた受注を確保できるのは、現役時代にスキルを高めていた人に限定されるようです。

サラリーマンであっても、独立した経営者のような気持ちになり、社内の仕事を自らの意思で受注するつもりで働くべし、といった趣旨の言葉を聞いたこともあると思いますが、これからは副業で他社の仕事を受注する人も増えるでしょう。
たくさんある選択肢の中から、本業の会社の仕事を優先的に受注してあげようか、くらいの状態にしておけば、いつまでも「楽しい現役」でいられそうです。



2020年11月22日日曜日

DXとIT化の違いを自分なりに定義してみる 『ISO通信』 2020年11月号 vol.53

 DX、デジタルトランスフォーメーション、DT? DX?

頭の中でモヤモヤしながら、放置していたことを調べてみました。
Digital Transformationなのに、なぜ「DT」でなく「DX」なのか。
接頭語のtransは、across(~の向こうに、横切って、十字の)と同義であるところからきているのですね。

TRANSEARCHという名前の会社に10年も務めていながら、transがXで表されることを知らなかったなんて、まったくもってお恥ずかしい。チコちゃんに叱られそうです。
ちなみにTRANSEARCHはtransferとsearchを掛け合わせてつくった社名です。(これからは「Xsearch」と略そうかと思いましたが、違う会社になってしまいそうなので止めておきます。)

知人のコンサルタントが「ハンコを無くすことはDXではなく、ただのIT化です。DXが起こるとハンコではなく、人間がいなくなってしまうことがあります」と言っていました。

なるほど、クラウド上の契約書に電子署名する行為は「押印作業」の代わりにInformation Technologyを利用するだけなので「IT化」と表現する方がよさそうです。
2000年のゴールドマンサックス社には500人以上のトレーダーがいましたが、AIの登場でトレーダーは2~3人に減り、代わりに200人のエンジニアが働くことになったそうです。「DXが起こると人がいなくなる」で思い出したのがこの件ですが、調べてみると2017年のニュースでした。これからもドンドンそんなことが起こりそうです。

DXとIT化の違いが曖昧になることがあるのですが、DXの概念は幅が広く、定義も一様ではないようです。経済産業省の資料やIT技術を解説するWEBサイトを見て、自分なりにまとめると「企業や組織がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルや価値提供の方法を変革すること」くらいになりそうです。
ハンコを電子化したり、会議をオンライン化したりするなどのIT化は手段の効率化であり、DXでは「ITを用いて、ビジネスモデルを変革していく」ことになります。しかし、IT化についていくだけで精一杯というのが私の現状です。

「人間がいなくなるようなDXは自分の業界では起きて欲しくないなあ」という本音もありますが、願望だけを頼りにしていたら、生きていけません。
5年前は「ITのことなんてサッパリ分からん」で通すつもりだったのですが「生涯現役」で行きたいので考え方を改めました。というより、ITから逃げ切ることはできないと気づき、諦めてやる気のスイッチを入れた感じです。

しかし勉強してみたら、ほんの少しだけ分かるようになり、理解できると楽しいと感じることもあります。
51歳の自分にもまだ成長余地があったとポジティブに考え、DXで消える人にならないようにしたいと思います。

2020年10月16日金曜日

テレワーク反対派の会社も、変わりたいならチャンスは「今」 『ISO通信』 2020年10月号 vol.52

 独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、JILPT)のWEBサイトに「在宅勤務は誰に定着しているのか」というタイトルの調査レポートがありました。

調査では、緊急事態宣言期間中などに在宅勤務を経験した人に対して、7月25日(土)から8月3日(金)までの7日間に何日、在宅勤務したかを質問しています。 

詳細は下記のサイトで確認できすますが、0日と答えた人が49.8%、1~2日が20.6%、3日以上が29.6%となっています。

大雑把にまとめると「大企業」、「情報通信業界」、「高学歴」、「企画やコンサルティング的な職種」などのキーワードにマッチする人に定着しやすい傾向があるようです。

https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/046_200916.html

知り合いに「ノマド」的なワークスタイルを謳歌しているように見える人がいます。その人は大企業を辞めた後、外資系のコンサルティングファームで成果を上げ、現在はフリーのコンサルタントとして活躍しています。フリーになってからは喫茶店や自宅が彼の働く場所であり「ノマドワーカー」という言葉を知ったとき、最初に思い出したのがこの人です。
ノマドワーカーに厳密な定義はないと思いますが、働く場所(物理的なスペース)を自由に選べる人のうち、高収入の人がノマド、と勝手に思っています。フリーランサー時代の私は、働く場所を自由に選べましたが、収入がほとんどなかったので、ノマドどころか無職みたいな人と思われていたはずです。高収入ではなくても、自分の働き方はカッコいい、と誇れる人もノマドワーカーかもしれません。

さて、週に3日以上のテレワーク勤務が認められる人は、サラリーマンの身分でありながら、ノマドワーカーにもなれるでしょうか。海辺のカフェテラスで、波の作る白い泡を眺めながら仕事し、休憩時間に投稿したSNSに上司が「いいね」をつける。そんな一日が特別なことでないなら、あなたは立派なノマドサラリーマンです。

海辺のカフェでなく山小屋でも喫茶店でもいいのですが、在宅ワークからテレワークにシフトできる会社は限定的だと思います。30代の社員が、山小屋で仕事する50代上司のSNS投稿を見たら「あの人、ホントに仕事してるのかなぁ」と思うでしょうか、それとも「やっぱり、あの人はカッコよく仕事しているな」と憧れるでしょうか。逆に50代の上司が30代の部下の投稿をみて「本当に仕事をしているだろうか」と心配するか「任せておいて問題ない」と思えるか。

50代と30代がお互いに信頼できる関係であれば、上司と部下の関係である必要はなさそうです。トップの指示やビジョンがあれば、50代も30代もそれに従って動くだけ。そんな状況であれば中間管理職は不要となり、20代の若手に対してスキルを教えることが上司の仕事になるかもしれません。

前述の調査では、8月初旬の段階で在宅ワークの日数がゼロの人が半分で、週に3日以上の在宅勤務を実施している人は3割程度にすぎません。オフィスに出勤させ一般社員がサボらないよう、中間管理職に監視させたいと考える経営者も多いのでしょう。あるいは、オフィスでワイワイガヤガヤと仕事することが生産性アップにつながると考えているのかもしれません。

あと1~2年してコロナの禍が去る頃には、在宅ワークからテレワークに移行できた一部の会社と在宅勤務さえ止めてしまう会社に二極化していくような気がします。
オフィスは仕事がしやすいようにデザインされているので(そして、家はくつろぎやすいように作られていて、ついついのんびりしがちなので)私の場合は、オフィス勤務の方が効率は上がります。しかし、鬼軍曹タイプの中間管理職が職場を常に監視するような会社からは、優秀な人材は消えていくことでしょう。
経営者のみなさま、企業のカルチャーを変えたいと思っているなら、チャンスは「今」です。

2020年9月21日月曜日

あなたが思い浮かべる「晴れ男」や「晴れ女」はどんなタイプ? 『ISO通信』 2020年9月号 vol.51

 「うーん、今日は山田くんに負けちゃったなあ」

「えっ、何がですか?」

「私って晴れ女でしょ。でも、今日、雨が降っているってことは、山田くんの雨男パワーに負けちゃったってことじゃない」

パーティー会場で二人の会話を聞いたとき「このお姉さま、逆に強すぎ」と思ってしまいました。(この女性の名を仮に平野さんとします。山田くんも仮名です。)

平野さんは、明るく朗らかにリーダーシップを発揮できる女性で、そのパーティーの中でも大物感を漂わせている人物の一人です。一方の山田さんは、おとなしくて口数の少ないタイプ。
平野さんは自営業の経営コンサルタントで、中小企業の社長さんたちからの信頼も厚いようです。

このパーティーに参加したのは6~7年前のことですが、それ以来「晴れ女」や「晴れ男」を自称するのは、イメージアップ作戦の一つだと思うようになりました。もしも「100%の晴れ男」が実在するのなら、政府は「晴れ男軍団」を組織して、台風の直撃から日本を守ってくれるはずです。

冗談はさておき、そのパーティーの日以来、私も「晴れ男」になろうと思うようになりました。しかし性格的に

「オレの晴れ男パワーが、〇〇くんの雨男パワーに負けちゃったなあ」
なんてことは言えません。
人に聞かれたときに「どちらかと言えば、晴れ男ですよ」などと答える程度です。しかし、これでは晴れ男にはなれません。
本物の晴れ男や晴れ女は「ほーら、やっぱり私って晴れ女」と公言でき、しかも周囲の人に不快感を与えない人です。ある意味、天賦の才能ではないでしょうか。

数年前のパーティーのことを思い出したのは、先日の面談で
「なんなら、履歴書の特技の欄に『晴れ男』って書きたいくらい、よく晴れます」
と言った人(仮称:春日さん)がいたからです。

転職相談の仕事では相手のパーソナリティを知ることも重要で、私はよく
「周囲の人から『佐藤さん(仮)って、〇〇な人だね」と言われるとしたら、どんな言葉がありますか。実際に言われる言葉でも、想像でもいいです」と質問します。(もちろん、相手が木島さんなら、「木島さんって、〇〇な人だね」になります。)

この質問に対しては「真面目な人」「面白い人」「執念深い人」「敵をつくらない人」「いつも楽しそうな人」「めったに怒らないけど、怒ると怖い人」など様々な答えが返ってくるのですが、春日さんの「ホントに晴れ男だねって言われます」という答えは意外でした。

(政府から「晴れ男軍団を組織したいのだが、いい人を紹介してくれ」という仕事の依頼が来たら、春日さんを推薦したいと思います…。)

さて、春日さんは「ホントに晴れ男だねって言われます」と言った後、次のように補足してくれました。
「晴れ男を自称していると、ラッキーなことが舞い込んでくる気がするのですよね。宝くじに当たるようなラッキーではなく、人に恵まれるとか、偶然のひらめきが仕事につながるとか、そういった類のラッキーです」
それを聞いて私は「そうですよね。春日さんみたいな人についていくと、こっちまで、得しそうな気がします」と答えていました。
面談の前に読んだ職務経歴書に数々の実績が記載されていましたが「なるほど、こんな人がリーダーだったら、ついて行きたくなるのだろうな」と感じました。

自称「晴れ男」や「晴れ女」には、あまり付き合いたくないタイプの人もいますが
「あの人が来るなら、きっと晴れる」と言われるような人の振る舞いをまねしようと思います。

2020年8月22日土曜日

選択的に生きているのか、選択させられているのか? 『ISO通信』 2020年8月号 vol.50


「ごめん、仕事の予定が入っているので、その日は行けない」
飲み会やパーティーに誘われたとき、そんな風に断ったことが誰にでもあるでしょう。
「ごめん、その飲み会よりも仕事の方が大切だから、今回はパス」
もし、このような答え方をしたら、次回から誘ってもらえなくなりそうです。
では、次のシチュエーションではどうでしょう?
楽しみにしていたコンサートが延期になり、デートの約束の日と重なってしまった。コンサートを優先すると
「ボクよりもジャニーズのコンサートが大切なわけ?」
と怒る人がいるかもしれません。もちろん、ジャニーズじゃなくて女性アイドルでも交響曲でも構いません。自分のことをボクと呼んだ人が女性かもしれない、と想像してみるのも頭の体操になります。

さて、デート対コンサートは、プライベート対プライベートです。仕事を理由に断るときよりも、デートの相手を納得させることの難易度は上がりそうです。
プライベート対仕事の場合、最近はプライベート優先派が多いようで、2018年の『子供・若者白書』(内閣府の統計資料)によると「仕事よりも家庭やプライベートを重視する」人の割合は63.7%でした。これは16歳~29歳までの若者を対象とした調査で、2011年に実施した同様の調査では、プライベートを重視すると答えた人の割合は52.9%だったそうです。
また、2018年の白書には「あなたは主として、何のために、仕事をするのですか」という質問もあり、選択肢と回答率は以下の通りでした。
「収入を得るため」84.6%
「仕事を通して達成感や生きがいを得るため」15.8%
「自分の能力を発揮するため」15.7%
「働くのがあたりまえだから」14.8%
「人の役に立つため」13.6%
「社会的な地位を得るため」7.0%
「親や兄弟を養うため」4.6%
「その他」1.3%
この質問に対しては選択肢の中から二つ選べることになっているので、全員が二つの選択肢にチェックを入れるとパーセンテージの合計は200%になるはずです。しかし、上記の数字を合計すると157.4%なので、「収入を得るため」以外に理由がないと考えた人が相当数いることになります。
ニッポンの若者よ、そんなことでいいのか!
と言いたくなる人もいると思いますが、20代の頃の私も「収入を得るため」に働き、仕事よりもプライベートを優先していました。

白書を離れて、最初の話題に戻しますが、仕事、デート、コンサート、どれを選ぶのも個人の自由です。ただし、仕事をしないと上司に叱られるという理由で仕事を選んだ場合は自らの選択とは言えません。
現在の私も「仕事よりも家庭やプライベート重視」派ですが、実際の行動はプライベートよりも仕事を優先するケースが多くなっています。
幸いなことに「上司に叱られたくないから」が理由ではなく、お客さんが喜んでくれることが、プライベートな遊びよりも楽しいと感じるときに、仕事を優先しています。
もちろん、それだけが理由ではなく「お客さんに迷惑をかけられないから」「ここで頑張らないと他社に仕事を奪われるから」といったケースもあります。

プライベートを優先するときは「遊び」を選択した自覚があるので、後ろめたさを感じることはないのですが、想定以上に飲み過ぎて二日酔いで苦しんでいるときは「あー、またやってしまった」と同じ反省を繰り返しています。

次に、大人数で一か所に集まって飲める日がきたら「今日、とことん飲むのは、自らの選択だ」と割り切って楽しみたいと思います。翌日、ゆっくり休める日に。

2020年7月23日木曜日

なぜ、勉強しなきゃいけないの? 子供の質問と大人の自問 『ISO通信』 2020年7月号 vol.49

16進数の小数0.24810進数の分数で表したものはどれか。
ア:3132  イ:31125  ウ:31512  エ:73512
試験の例題を見てみましたが、なんのことやら、さっぱり分かりません。

高校2年生の長男が「基本情報技術者」の国家試験を受けるそうで、珍しく真剣に勉強しています。これまで、勉強が嫌いで仕方なかった長男が「勉強していて楽しい!」と言うので嬉しく感じるのですが、大学受験の勉強もそんな気持ちでやってくれたら、と思わないでもありません。


「なぜ勉強しなきゃいけないの?」

子供の頃、だれでもそう思ったことがあるでしょう。

我が家には二人の息子がいて、子供たちにそれを聞かれたら
「未来の選択肢をたくさん残しておくため」と答えようと思っていました。 
生まれたばかりの赤ちゃんは、将来、宇宙飛行士になるかもしれないし、詩人になるかもしれないし、オリンピック選手なるかもしれません。サラリーマン、農家、ホームレス、ニート。夢のような未来もあれば、考えたくない未来もあります。

「大学生の前半くらいまでは、基礎的な知識と幅広い教養を身につけておくことが重要で、本当になりたい職業に出会ったとき、専門性を高めるための勉強をすればいいんだ。元素記号を暗記しておいてよかったと思うことだってあるかもしれないよ」と言おうと思っていたのですが、子どもたちは面倒なことを予感するとすぐにどこかへ行ってしまいます。いつもそんな調子なので「いいから黙ってオレの話を聞け!」といった風に説教し、結局、反発されるだけだったのですが、諦めて放任すると自分でやりたいことを見つけてきました。そして
「IT分野では日本はメチャクチャ遅れているから、英語のサイトを読まないといい情報がとれない。だから英語も勉強しようと思う」などと言っています。
それを聞いて「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」という言葉を思い出しました。喉が渇けば、馬だって自ら行動して水辺を探しに行く、ということですね。

職場のマネージメントにおいては、HOWを教えるよりもWHATやWHYを与えた方がよいと、最近参加したセミナーで教えてもらいました。つまり、仕事のやり方を教えて忠実にそれを守らせるより、なぜやるのか(WHY)を理解してもらい、目的を達成するために何(WHAT)が必要かを自ら考えてもらう方がよい、ということです。
確かに、新商品を開発する仕事(WHATを自分でつくれる仕事)と量産化された定番商品を販売するために、このルートを回って営業しなさい(HOWを与えられた仕事)と指示される仕事では、前者の方がワクワクしそうです。

しかし、新商品の開発もルート営業も、会社にとってはどちらも大切な仕事です。そしてルート営業にWHATやWHYが不要なわけでもなく「堅調だった売上に陰りが出てきた理由は何なのか」「消費者は次に何を求めているのだろう」などを考えれば、ただやらされている感覚ではなくなります。

子供の勉強は、未来の選択肢をできるだけ多く残しておくために必要だと考えているのですが、大人になってからの勉強は、もう一度、未来の可能性を切り開くためにするものだと思うようになりました。WHATやWHYを自分の意思でコントロールする人生であるために。

2020年6月27日土曜日

自律も他律もどちらも必要? 『ISO通信』 2020年6月号 vol.48

転職相談の仕事では、公的なアンケート結果には現れにくい本音を聴くことがあります。
「テレワークっていいですよね。上司が怒鳴り出したらボリューム下げちゃうんで、あまり怖くありません」
なるほど、確かにそうかもしれません。テレワークでもパワハラをする人はいるようですが、怒鳴る傾向がある人とビデオ通話するときは、スピーカーの音量を下げておけば圧力は半減するでしょう。
オフィスでのセクハラに困っていた人も、テレワークなら身体接触の心配はありませんし、ジロジロ見られているように感じる不安も減るはずです。

 一方で、オフィス勤務に戻ったことを歓迎している人もいます。
「テレワークに対応できない旧世代のように思われてしまいそうですが、私はオフィスの方が働きやすいですね。やっぱり、オフィスは仕事しやすいようにデザインされていますよ」
このかたとは電話で話したのですが、自宅には仕事部屋がなく、背後の家族の動きを気にしながら、オンラインで会議することにストレスを感じていたそうです。

テレワークを継続している人からは
「うちでは、オンラインお茶会が定着してきました。お茶会のときは仕事の話でも、うわさ話でも自由に話せることになっています」
と聞きました。その人の会社では月水金の15:00~15:30をオンラインお茶会の時間に設定し、だれでも自由に参加できる部屋が複数あるそうです。部屋に入るためのURLは全社員に公開されているものもあれば、親しい人だけに知らせているものもあり
「今のところ、休み時間にはカウントされていません」
とのことでした。

オンラインお茶会の時間は仕事時間なのか、休憩時間なのか。
あと2~3年すると「まだそんな議論してるの?わが社は時間管理を止めました」と言う会社が増えていることでしょう。テレワークや副業などが当たり前になると、時間よりも成果で管理した方が合理的です。
しかし、時間で管理しないと無制限に社員を働かせようとするブラック企業や、自らの意思で働き過ぎた結果、健康を維持できなくなる人も出てきます。

自律的に時間や健康を管理して成果を上げる社員がたくさんいて、オフィスワークもリモートワークも自由に選べる職場が理想的ですが、そんな会社に合格できるのは、ごく一部の優秀層だけのような気もします。
 優秀な人が集まるから理想的な職場になるのか、理想的な職場環境を用意すれば社員が自律的になっていくのか?
それとも、人は易きに流れるものだから、管理の少ない環境では労を惜しむ社員が増えるのか。しばらくは模索が続きそうです。

さて、在宅ワークの期間中、私自身は自律的に働くことができているつもりでしたが、オフィスワークを再開してみると「他律」があった方が(つまり、上司の眼を近くで感じているときの方が)、SNSなどを見ている時間が減ったような気がします。
SNSが仕事につながることもあるので、その時間が減ればよいわけではないのですが、在宅ワークでは「まあ、これも仕事のうち」と甘える傾向がありました。
自律的な自分を樹立するための修行は、まだまだ続きそうです。   

2020年5月30日土曜日

どこで働きたいですか? 『ISO通信』 2020年5月号 vol.47


「うちは出来ない会社なのではなく、やらない会社だということがよく分かりました。それが転職したくなった理由です」
電機メーカーに勤めている男性から聞いた言葉です。

その会社がやろうとしていないことは「テレワーク」です。在宅勤務が可能な部署ではテレワークを導入しているそうですが
「会社は、テレワークを本気で活用する気はないようです。コロナが終われば、元に戻ってしまうでしょう。たとえコロナ騒動が12年続いたとしても」
と、その男性は言いました。

電鉄会社に勤務している男性からも同じような話を聞きました。時間通り正確に電車を運行させることを使命にしている会社が保守的なカルチャーになることは想像できます。しかし、電鉄会社の男性も「できないのではなく、やる気がない」ことに不満を持っていました。
二人の男性に共通していたのは「変化を嫌う体質を嫌っている」ことでした。
電鉄会社の男性は「テレワークを真剣に検討してメリットが少ないと判断したのなら、導入しなくてもいいのです。でも、ほとんど検討もせずにウチには合わない、と考える姿勢がイヤなのです」と言っていました。

日経BizGateのサイト(57日付け)に“「収束後もテレワーク中心に働きたい」4割 ”と題した記事がありました。
新型コロナ禍収束後にどんな働き方をしたいか?の問いに対する回答が下記です。
・オフィスだけで働く:7.5
・オフィス中心にテレワークでも働く:53.4
・テレワーク中心にオフィスでも働く: 35.1%、
・テレワークだけで働く:3.9
テレワーク中心派が約4割、オフィス中心派が約6割となっています。
オフィスだけで働きたいと考える人は1割もいないので、9割の人はテレワークも使いたいと考えていることになります。



同サイトには、テレワークでの生産性を問う質問もありました。
「下がった」と「やや下がった」の合計が42%で、「上がった」と「やや上がった」の合計が27%でした。
この数字を見てテレワークを継続したくないと考える経営者もいるかもしれません。
社員数が20人くらいの会社を経営している友人は
「(社員の)働きぶりをちゃんと見ていないとダメだな。正直、テレワークで自律的に働いてくれる人を雇えるほどの給料を出せていない。経営者の実力不足と言われたらそれまでだけど」
と嘆いていました。
一方で、部分的なテレワークから全面的なテレワークに切り替えた会社もあります。
「オフィス中心にテレワークでも働く」と答えた53%の人は、固定的なオフィスを持たない会社に不安を感じるのかもしれません。

雇う人にも雇われる人にも様々な思いがあります。
監視や時間管理の厳しい会社では働きたくないと思うのなら、労働力を提供する場所や時間を選ばずに成果を出せる準備をしておく必要がありそうです。