先日、オフィスの移転があったので、書類を整理して不要なものを処分しました。必要最低限の書類整理は普段から行っていますが、後でやろうと思って積んでおいた資料がかなり溜まっていました。
新規開拓の営業をする際には新聞情報を参考にすることがあり、この記事はヒントになるな、と思ったときにはコピーをとっておきます。
具体的な提案をして新規開拓がうまくいくこともありますが、多くのコピーが積んだままになっていました。
もう少し時間があればなあ、と思うのですが、ルーティンワークに追われているうちに新聞記事のことを忘れてしまうことも多々あります。
新規開拓営業に関しては、多少はアクションしているので、コピーしたことを忘れてしまった資料があってもやむを得ないと自分を納得させることはできます。
しかし、今回の書類整理で気づいた一番のことは、完全に無駄になっている時間があるということでした。できるだけ多くの情報に接したいと思ってWEBサイトや業界新聞などを読み、必要な記事はコピーをとったりデータを保管したりしています。ところが引っ越しで書類整理をしたときに、新鮮に思えてしまった記事が結構ありました。
読んだ時に「後で熟読しよう」と思って記事を保管しているのですが、保管したことさえ忘れていた記事もあります。
それではまったく意味がありません。その瞬間で覚えてしまう気構えがなければダメなのだと痛感しました。そこで引っ越し以降は
「一発で覚える」
と念じてから資料を保管することにしました。もちろん現実にはそんなことはできません。しかし「一発で覚える」と念じたときと「コピーをとっておけば後で見られる」と思っているのでは大違いです。
「後(あと)とバケモノは出たことがない」
というのは一般に流布している格言なのか、私が育った地方限定の言葉なのか不明ですが、久しぶりに父の小言を思い出しました。
私の仕事の一つは、顧客企業に対して「○○さんには△△のスキルがあって、これだけの実績を残してきた人です」と伝えることです。そのために、事前の面談では過去の実績や経験を伺います。
ある会社の社長は、若手を採用するときにはポテンシャルを重視していて、それを探るために「大学受験の頃の様子も知りたい」と言いました。
面談のときに
「○○大学に現役で合格していますが、受験勉強もあまり苦にならなかった方ですか?」
などと私が聞くと、普通は “そんなことまで聞くのですか” という顔になります。
しかし、この仕事をしていると天才肌の人に会う機会もあり、ある人は
「覚えようと思ったことは、だいたい一発で覚えられます」
と、さらりと言いました。(しかも嫌みのない、さわやかな表情で!)
そのような才能の持ち主に出会うと羨ましくもありますが、ウキウキした気分にもなります。優秀な人が新たな職場で活躍することは社会が活性化することであり、自分の仕事も少しは役に立っていると思えるからです。
覚えるべきことを一発で記憶できてしまうような才能に恵まれている人は、ほんのひと握りです。私の場合「えーと、この前、一発で覚えようとしたことってなんだっけ」と思いながら、メモ帳を開いたりするのですが、後で覚えようと思っていたときより格段に記憶に定着するようになりました。
インプットの際のスイッチの入れ方を少し変えるだけで、成果に大きな違いが出ることもあるようです。